ぎゃるげずきの冒険日誌

オンラインＲＰＧに期待することは他人と一緒に冒険することです。
しかし、ＤＱＸで他人とできることは戦闘とチャットくらいしかありません。
チャットはＲＰＧでなくても実現できるものだし、戦闘は理不尽なシステムのせいでそれ自体が楽しめるものではありません。
ＤＱＸには他人と一緒に冒険する余地が殆どありません。

ＤＱＸの戦闘システムと世界観との乖離が激しく、世界観に浸って楽しむことができません。
必要なデフォルメと言える部分もありますが、多くは製作者の独り善がりにすぎないので、理不尽さしか感じません。
ＤＱＸの戦闘は、１人でやっても全然楽しくありません。
さらに、他人の足を引っ張るのも、他人に足を引っ張られるのも不快なので、勝てるかどうかギリギリの戦いでは他人と組みたくありません。
余裕で勝てる戦いでしか他人と組む気がしません。
以上の通り、ＤＱＸの戦闘は、１人でも他人と組んでも楽しくありません。

ＤＱＸでは、シナリオを他人と楽しめるように作られていません。
例えば、２人で組んで、既に片方がクリア済みのシナリオを、他方が進めるとします。
この場合、ＤＱＸでは、クリア済みの人とシナリオを共有することができません。
クリア済みの人からは、シナリオの進行が全く見えないのです。
ＦＦの何作目だったかは忘れましたが、２Ｐが戦闘に参加できることをもって２人プレイ可能と謳っていたのを、それは２人プレイとは違うだろうと感じました。
しかし、そのＦＦの「２人プレイ」ですら、２Ｐからシナリオ進行を見ることだけはできました。
ＤＱＸでは、本人以外にシナリオ進行を見ることはできません。
双方未クリアであったとしても、テキストを読み進める速度の違いなどもあり、一緒にやろうとすれば早い方がイライラさせられることになります。

もちろん、他人と一緒に冒険するにあたって、シナリオ共有が必須の機能とは思いません。
他の方法であっても、他人と一緒に冒険を楽しむことができれば良いのです。
しかし、ＤＱＸでは、他人と組んでやれることは、理不尽な戦闘くらいしかありません。

では、どうしてそうなったのでしょうか。
まず、CEDEC2013における前ディレクターの藤澤氏の話から、開発開始当初の固定観念が挙げられます。
藤澤氏は、ＤＱＸの開発に参加するまでは、自身でMMORPGをプレイしたことがなく、ＤＱＸのオンライン化には反対していたそうです。
実際に、MMORPGをプレイして面白いと感じられるようになるまでのハードルが高いこと、初心者排除的な傾向があることを感じたそうです。
そのせいで、既存のMMORPGのシステムが先入観として植え付けられたのでしょう。
確かに、その問題点を改良しようとはしたのでしょうが、元は既存のMMORPGがベースです。
だから、既存のMMORPGの改良という視点のみで考えていたのでしょう。
既存のMMORPGにないものを作る…という視点が欠けていたと思います。
結果、戦闘とチャット以外で他人と何が楽しめるのか、そのためにどのようなシステムを採用すべきか…という検討が全くなされていないのだと思います。
既存のMMORPGの二番煎じに過ぎないなら、ドラクエである必要があるのでしょうか。
さらに悲しむべきことに、藤澤氏が従来のMMORPGのシステムの欠点と考えていたはずの初心者排除的な傾向がＤＱＸにももたらされています。

次に、開発後の検証が全くされていないことも原因として挙げられます。
開発・運営だより第13号では次のように書かれています。

>ドラゴンクエストＸをそういうゲームとするために、プレイスタイルに下のふたつの選択肢を持たせています。
>・ひとりで遊びたいときは、ひとりで遊べる
>・みんなで遊びたいときは、みんなで遊べる

しかし、本当に「ひとりで遊べる」のか、本当に「みんなで遊べる」のかは全く検証されていません。
明確に示されたことは「国勢調査」で「およそ80%のプレイヤーが『ひとりでバトルを遊んでいる』という結果」が出たことと、「いつも何人でバトルいてますか？」というアンケートに73.2%が「主に１人で」と答えたことだけです。
本当は「みんなで遊びたい」けど、戦闘以外は「みんなで遊べる」システムになっておらず、他人と組んで戦闘するのは苦痛だから、仕方なく「ひとりでバトル」している人がかなり居るのではないでしょうか。
本当は「ひとりでバトル」したいにも関わらず、一人ではどうしても勝てないから他人と組んでバトルしている人も居るのではないでしょうか。
そういう検証を全くせず、ただ、何％の人が何人でバトルしているかのデータだけ示しても、「ひとりで遊べる」や「みんなで遊べる」という証拠にはなりません。