プレイヤーの行動順でしか「さくせん」を変更できないのは、製作者が意味を取り違えているからでしょう。
ドラクエにおける「さくせん」は各キャラの自律的判断を前提とした戦術方針の伝達ではなく、各キャラの限定的制御手段です。
つまり、世界観上のプレイヤーの行動ではなく、システム上の機能です。
「おおまかな方針は○○です。細かい判断は各自に任せます」ではないのです。
プレイヤーは不完全なAIに対して裁量判断なんて一切期待しようがありません(完全なAIなら期待し得ますが)。
期待する行動をキャラを取らせるにはどれを選べば良いか考えて選択するシステムがドラクエにおける「さくせん」です。
世界観的にはノンプレイヤーキャラ(NPC)も自律的判断ができる存在です。
しかし、NPCがちゃんと自律的判断するようなAIシステムは用意されていません。
結果、AIに任せるとまともな行動を取らないので、ある程度プレイヤーが制御する必要があります。
ドラクエには伝統的に「めいれいさせろ」という「さくせん」があります。
しかし、戦闘にリアルタイム要素が入ったドラクエⅩでは、パーティ全体のコマンドの個別指示は現実的ではありません。
そのためか、本作では「めいれいさせろ」は用意されていません。
過去作においても「めいれいさせろ」は操作が非常に面倒です。
そこで、操作の手間を減らしつつも、キャラを限定的に制御できるよう、複数の「さくせん」を切り替えて使います。
「さくせん」はAIの思考判断に介入するためのインターフェイスであり、ドラクエ世界の外にあるものです。
だから、プレイヤーの行動順でしか「さくせん」を変更できなくする合理的理由は存在しません。
というか、プレイヤーが行動できなくても操作対象のキャラが行動できるなら「さくせん」を変更できないほうが不自然です。
「さくせん」を戦術方針の伝達だと解釈するなら、プレイヤーが死んだ後は誰かが役目を引き継いで臨機応変に変更するはずです。
だから、そのように解釈しても、プレイヤーが死んだ後に「さくせん」が変更できないことは世界観と一致しません。
【日誌】サポート仲間の冷遇-世界観とシステムのミスマッチ③
http://hiroba.dqx.jp/sc/diary/193798030194/view/4181044/