(誤)バザー市場が活性化するとドラクエⅩ経済が発展する
(正)ドラクエⅩの経済状態は運営のコントロールで決まる
経済発展とは効用(辞書を引いてください)の平均を高めることです。
現実社会の効用は人の働きによって変わります。
パレート効率が上がれば効用は上がりますし、技術革新でも効用を上げられます。
それに対して、ゲームでは、運営が効用の上限を設定します。
話をわかりやすくするために、ここでは戦闘の観点のみ考慮します。
端的に言えば、効用が高まるとは、敵に勝てるようになることです。
運営は、敵を強くして効用を下げる一方で、新しい装備やレベルを解放することで効用を上げます。
実際の効用が運営の想定よりも大きければ、後日、効用を下げる調整が入ります。
逆に、実際の効用が運営の想定よりも小さければ、後日、効用を上げる調整が入ります。
ようするに、一定の効用を維持するマッチポンプであり、ユーザーが何をしても結果は変わりません。
技術革新で新しい装備をユーザーが発明することはできません。
仮にできたとしても、その装備の存在を前提として敵が強くなるよう調整されます。
結果、何をどうしても運営の想定よりも効用を高めることはできません。
現実社会では、経済発展のために、ある程度の経済格差を許容する必要があります。
しかし、ゲームでの経済格差は、経済発展に全く寄与しないばかりか、むしろ、経済を悪化させます。
強いユーザーを基準に敵の強さが調整されるため、弱いユーザーの効用は想定よりも小さくなります。
つまり、経済格差により効用の平均が下がるため、経済全体としては悪化します。
以上の通り、ドラクエⅩにおける職人やバザーは、市場ごっこを演出するためには必要なものでしょうが、経済には全く寄与しません。
むしろ、金策する人としない人の経済格差を拡大するため、経済にとってマイナスの効果を生みます。
もしも、市場ごっこが破綻したとしても、それを前提とした調整が入るでしょうから、経済的な影響はありません。
誰も新装備を作らなくなったとしても、新装備がないことを前提として敵の強さが調整されるため、効用が下がることはありません。
むしろ、経済格差の縮小により、経済発展が見込めるでしょう。
(誤)システムが生み出すゴールドを増やすとインフレが起きる
(正)ドラクエⅩのバザー価格は、寡占によって出品者が支配している
現実経済では、政府がお金の流通量を調整して物価変動率をコントロールすべきという主張があります。
これは、次の2つを前提としてます。
・物価は物の流通量と貨幣の流通量のバランスで決まる
・政府は物の流通量には介入できないが貨幣の流通量には介入できる
ゲームでは、仮に、前者が成立したとしても、運営は物の流通量にも介入できるのだから、後者は成立しません。
また、前者は市場原理が完全に成立していることが更なる前提となります。
ドラクエⅩの高級装備市場は寡占状態であり市場原理が少ししか成立していないことは明らかです。
自前で高級装備を作れない人は、高級装備を買うために金策を行なっています。
よって、高級装備以外の供給曲線は高級装備の価格によって支配されます。
結果、市場全体の価格は、高級装備の出品者の意向によって支配されています。
高級装備の出品者は、ゴールド以外では入手が難しいレアアイテムを入手するために金策をしているのでしょう。
このレアアイテムも出品数が少ない寡占市場です。
レアアイテムの出品者の金策の目的が高級装備を買うことなら、当然、この供給曲線も高級装備の価格によって支配されます。
以上まとめると、ドラクエⅩのバザー価格は、高級装備やレアアイテム等の出品者の意向によって支配されています。
もちろん、高級装備やレアアイテム等だけがバザー取引の起点になるわけではないので、他の要素も物価変動率に影響を与える一要因になり得ます。
しかし、価格に対する影響力を考えれば、物の流通量と貨幣の流通量のバランスの影響力は低いようです。
hiroba.dqx.jp/sc/topics/detail/17d63b1625c816c22647a73e1482372b/
>なので、『MMORPGは、従来のRPGよりも、システムがちゃんとゴールドを消さなければならない』という性質にあるのです。
「従来のRPG」におけるバランス論も全くの見当違いですが、その説明は割愛します。
『MMORPGは、従来のRPGよりも、システムがちゃんとゴールドを消さなければならない』が間違いであることは、システムが生むお金が増える一方で、システムが消すお金が減っているにも関わらず、インフレが起きていない事実が証明しています。
以下、証明します。
(続く)