戦闘がただの作業なのに他人と組んでやることがほぼ戦闘しかないという点がドラクエⅩの最大の問題点と思います。
ルールが複雑怪奇な一方で底が浅いから、戦闘がただの作業にしかなりません。
さらに、異様に難易度が高いから苦痛にすらなります。
ドラクエⅩの戦闘のルールは複雑でかつ奇怪な内容です。
たとえば、耐性50%以上でも状態異常を100%食らうとか、確率計算式が意味不明です。
体に直接作用するザキ系の呪文や状態異常系の呪文が呪文耐性では防げないのに、炎や氷の呪文が呪文耐性で軽減できるのも意味不明です。
このように類推不可能な特殊かつ複雑なルールを採用しているので、そのルールを解き明かすには、思考の余地のない果てしなき試行が必要です。
試行はネット等からの情報入手で代替できますが、それでは攻略本を見ながらプレイしているのと同じです。
プログラムがどう作られているのか確認するだけの作業など面白くありません。
そして、ルールを解き明かしても、戦術を検討する余地がありません。
ほとんどのボス戦は少数の最適戦術が決まっていて、それ以外での攻略は極めて困難です。
場合によっては最適戦術が1つしかないこともあります。
攻撃力が異常に高い多段攻撃がある敵には真やいばくだき一択です。
状態異常成功率が異常に高い敵には耐性一択です。
それでは、ルールに合わせて戦術を創意工夫する余地がほぼありません。
それを極端にしたのが妖精図書館で、唯一の正解以外では勝つことはほぼ不可能で、その正解は特殊ルールが判明した時点で自明であるので、思考の余地が全くありません。
耐性にはゴールド等が必要ですが、普通のプレイで稼げるゴールドでは全く足りません。
グランゼドーラ王国の二人しかいない精鋭部隊として最前線で戦いながら、その経費はほぼ全て自腹です。
一刻を争う状況で、王国は必要経費を全く負担してくれず、「金は後でいいから持ってけ!」という気前の良い武器屋の親父もおらず、その戦闘の準備を整えるためにプレイヤーがかなりの手間暇を費やしてチマチマと金策…では緊張感も何もありません。
それでは、まるで、自衛隊員が自腹で戦車や戦闘機や弾薬や燃料を買うようなものです。
どうやら、主人公は冒険者ではなくフリーターのようです。
敵がどのような攻撃を仕掛けてくるかは一度戦ってみないとわかりません。
だから、耐性を整えるには、初めから全耐性を完備するか、全滅した後に必要な耐性を揃えるしかありません。
初めから全耐性を完備するには恐ろしいほどゴールドが必要です。
全滅した後に敵が律儀に金策完了まで待っててくれるのでは、世界観が完全に無茶苦茶です。
過去作なら状態異常がかかる確率はそんなに高くなく、レベルを上げさえすれば難なく撃破できました。
しかし、ドラクエⅩでは、100%耐性でなければほぼ100%状態異常を食らうことも少なくなく、最高レベルでも一撃で死ぬような攻撃をしてくる敵も少なくありません。
だから、レベルを上げてどうにかするという余地はありません。
サポート仲間が人間よりも極端に弱いためにソロプレイヤーは大変です。
とくに、フレンドが少なく、かつ、チームメンバーにも恵まれないボッチのプレイヤーは強いサポート仲間を雇えません。
それで最新のボスに勝つのは至難の技です。
V4.2は以前と比べてボスが弱めですが、それでもボッチには攻略困難でしょう。
敵を強くする方向性が根本的におかしいと思います。
ドラクエⅩのボスは、いずれも、最適戦術を取ればプレイヤーを瞬殺できるほどパラメータが高い一方で、非効率的なランダム選択で行動しているので、強いプレイヤーであれば何とか倒すことができます。
しかし、何らかの強い目的意識を持っているはずのボスの戦闘に全くやる気が感じられないのでは、世界観が破綻しています。
プレイヤーにとっては一休みしているに等しい行動を時々取るのも馬鹿げています。
パラメータをそれほど高くしなくても、ボスが状況に応じた最適戦術を取るようにすれば、プレイヤーも敵の行動に合わせた戦術を創意工夫する余地が生まれます。
試行や情報のみに頼るのではなく、思考を必要とすれば、敵が強くても楽しめるものになると思います。