うなは帳簿を眺めながら う~む とうなっていた。
「やっぱり今月は厳しいかぁ~。」
今月は思うように患者数が伸びずやや赤字傾向、病気をしないに越したことはないが経営的にはよろしくない。
やっぱり往診を増やした方がいいかなぁ~とブツブツ言ってるうなの横で、クルクルと器用にキセルを回してしたカオルからこんな提案が出た。
「副業すればいいじゃん♪」
「へぶっ!」
バサグランテのはげしいおたけびをモロにくらったカズコは吹っ飛ばされた。
「ちょっと~~~~、ちゃんと逃げるかキャンセルしてよね~~~。オレのゴシッククリーニングしたばかりなんだからホコリが付くと困るぅ~。」
後ろで自分はしっかり攻撃の範囲外でスティックをクルクルしているカオルはため息を吐きつつカズコにホイミをかけてやる。
「あ、アンタねぇ~~~~~。」
カズコは再度いなずまを放とうとしたバサグランテにキャンセルショットを叩き込んだ。
「もうちょっとちゃんと回復しなさいよ!暇ならスクルトくらいくれてもいいんじゃないのっ!!」
カオルは人の悪い笑みを浮かべながら、
「大丈夫だよ、カズコさんちょっとやそっとじゃ死なないからw」
バサグランテの迫り来るキバやツメを盾ガードしながらカズコは叫ぶ。
「アンタあとで覚えときなさいよおぉぉ~~!!」
カオルの提案した副業というのは今や冒険者の間では定番になっているいわゆる強ボス狩りだった。
彼らの落とすオーブはそこそこ高値で取引されすぐ換金できるため人気だった。
手始めにブルーオーブを取りに永遠の地下迷宮を訪れた、カオルが希望した構成は パラ 僧 魔 魔 なんだかベタの構成だなぁと思いつつも幸いカズコがパラをすることができたのでカオルの希望職が僧、あまりはうなとツトムで魔を務めることになった。
うなは二人のやり取りを見て核心していた、カオルはあきらかにカズコで遊んでいる・・・。
カズコのパラとしての能力もさることながら、カオルの回復のさじ加減も絶妙であった。
カズコが倒れないギリギリのところで回復している・・・・。
確かに倒れなきゃいいのかもしれないがあれではカズコが瀕死の状態で戦っているようなものである。
こないだのネコの一件をカオルはまだ根に持っているのか嫌がらせのやり口がかなり陰湿だ。
さすがにあれではカズコがかわいそうなので早めに決着をつけるべく、うなは杖を石床に勢いよく突きたてた。
紫に光る魔方陣が出現する、ツトムはその上に乗りメラミを暴走させた。
しばらくツトムと二人で暴走させた火炎球を浴びせかけると次第にバサグランテは動かなくなった。
バサグランテが消え去った後に紫色の宝箱が残った。
「おお~、よかったw一発で出たね。」
うなは思わずニヤニヤしてしまう。
「チェッ、もう少し楽しめるかと思ったのに・・・。」
カオルはつまらなそうに口を尖らす。
「アンタが僧やる時はアタシ絶対パラやんないわっ!!」
カズコがカオルに詰め寄った。
カオルはやれやれと肩をすくめる。
「別にぃ~~?一回も死んでないし問題ないんじゃない。」
カオルの態度にカズコはブチ切れた。
「アンタって子はあぁ~~~~!!」
怒り心頭のカズコは持っていたハンマーを石床に叩きつけた。
その瞬間、そばにいたうなとツトムが吹っ飛ばされた。
「ぎゃ~~~~~っ!」
怒りのあまりカズコが放ったランドインパクトがうなとツトムに直撃してしまった。カオルは要領よくヒラリと身をかわしている。
結局、バサグランテで死者はでなかったものの味方に殺されると言う結果に終わる。
難を逃れたカオルに蘇生を受けながらうなは、しばらく強ボスに行きたくないな・・・。薄れゆく意識の中、そんなことを考えたのであった。
(続く)