現在卒業シーズン真っ只中、来月にはすぐ新学期がやってくる。
もう15年以上前、妹がちょうど高校生になった年
私達姉妹はある少年の成長を3年間にわたって見守ることになった。
妹の高校入学式の時、妹は母親と一緒に帰る予定だったが母が学校に用事があったらしく一人で帰ることになったそうだ。
ボーッと歩いていた妹だったがふと気が付くと沢山の親子が同じ出口に向かっているにもかかわらず妹の周辺だけ異様なほどの空間ができていた。
意図的にその周辺をさけているのは明白だった。
その謎はすぐに解けた。
妹のすぐ前にあきらかにカタギではない格好の親父と金髪に耳ピアスジャラジャラのどうみても不良の少年が歩いていたのだ。
妹の通っていた高校はマンモスで上は進学クラスから下は商業・工業クラスと偏差値の振れ幅が特に大きな学校であったが、偏差値低いクラスとはいえよくこんな奴が入れたなとその時妹は思ったそうだ。
結構近くを歩いていたので二人の会話が聞こえた。
893風親父 「父さんおまえが高校に行けて本当にうれしいよ。」
金髪少年 「オレも高校行けるなんて思わなかったよ。」
893風親父 「頑張って卒業しろよ。」
金髪少年 「オレちゃんと学校通うよ。」
などという会話が聞こえたそうだ。
それから妹とこの話を聞いた私はその少年に大いに興味を持ち観察することになった(私は話を聞くだけだが)
その少年のことは妹と私の中で通称:893息子といつの間にか呼んでいた(今思えばひどいネーミングだw)
893息子と妹はクラスどころか校舎も違うのでそんなに頻繁に会うことはなかった(妹は進学クラスであっちはおそらく工業あたり)
遭遇してもよくて月1くらいだった。
会ってもフレンドリーにするわけでもなく本当にただ観察するだけ。
観察をすること半年、893息子は劇的に変化していった。
まず着崩していた制服から動きやすい学校指定のジャージを着ることが増えた。
そして髪型も金髪から落ち着いた茶髪になり最終的に坊主になった。
そしてジャラジャラつけていたピアスを外し跡だけが耳に残っていた。
学校も真面目に毎日通っているようである。
学校毎日通うなんて当たり前じゃんなんて思う人もいるであろうが、学校を毎日通うって本当はすっごいことなんだと思う。
特に偏差値が低い学校になればなるほど通わなくなる率は高いようで現在でも高校進学率は97%であるにもかかわらずその後の退学率は4割いるというのだから驚きである。
893息子のようにもう見た目からしてアレな感じの子は見た目通りやっぱり夏休み明け頃(早い子はGW)には学校に姿を見せなくなりそのまま退学の子も少なくなかった。もちろん見た目がフツーの子でも人間関係などで来なくなることも多い
逆に中学時代はあまり学校に通わなかったけど高校デビューと共に心機一転生まれ変わる子もいる。
893息子はきっと後者のタイプだったんだろう。
妹の観察はその後も続いた
(続く)