しばらくしてじーちゃんの治療方針と経過報告のため再度担当医に呼ばれた
今回夫は仕事があったため私一人で聞いた
じーちゃんは現在点滴などは全てはずれて奇跡的に腹膜透析も再開できて、雀の涙ほどの量だが自力で食事もできているという
じーちゃんは不死鳥のごとく復活を遂げていた
しかし長くないことにかわりはなく、病院でもできることはないということなので残りの時間は家で過ごしたらどうかと提案された
今度は寝たきりになるがあなたなら介護ができるのではないかと
うれしかった
もう帰ってこれないと思っていたじーちゃんが寝たきりだけど家に帰ってこれるという奇跡が
ただ寝たきりとなると色々準備が必要だし私の一存では決められないのでその夜は夫と話し合った
残り時間がどのくらいかわからないけどギリギリまでじーちゃんを家で過ごさせてあげたいと話した
私の時間はじーちゃんの介護に全振りするかわりに夫が学校行事をすべて引き受けることで話はまとまった
じーちゃんが透析治療に入ってから夫にはちょくちょく学校行事等かわりに行ってもらっていたが今度のことですべてお願いすることにした
幸か不幸かここ数年は感染症の影響で学校行事が縮小されていたことで実現できた
そのかわり私は夫や子供が安心して仕事や学校に専念できるように介護は一手に引き受けようと思った
介護してくれる人がいるから安心して仕事や学校にいけるという環境は本当に大事だ
周囲にそんな人がいたら常に感謝を伝えるといいと思う
じーちゃんは要支援2から要介護5に跳ね上がった
容態が急変したら病院からでられなくなってしまうので急ピッチで家に帰れる準備をした
じーちゃんはもう一人では何もできない
トイレも食べることも飲むこともすべてに介助が必要だ
最初は手間取ったオムツ替えもすぐに慣れた
じーちゃんは幸いにも体はよじることができたので床ずれの心配はあまりなかった
ただ体がアクティブだと別の問題も生じる
オムツがよくずれるので定期的に確認が必要だった
寝たきりになってから急速に認知も進んだ
家にいるんだけど本人は知らない場所だと思っていてしきりに家に帰ると言う
でもここで ここは家なんだ と反論しても意味がない
なので私は 明日夫君が休みだから明日車に乗って帰れるよ と言う
じーちゃんはそうかとそれで納得してくれてそのうち忘れる
じーちゃんは薬をまだ飲んでないということもある
本当はすでに今日の分は飲んでいるのだが
でもその時はもう飲んだよとは言わない
じーちゃんは錠剤は飲みにくいのでくだいてゼリーにまぜて飲むのだがその時はただのゼリーを食べさせてあげる
じーちゃんはそれで飲んだ気になって落ち着いてくれる
じーちゃんの世界にできるだけ合わせることがうちでの介護のコツだった
1時間おきにじーちゃんを気にかけたりこまめに吸い飲みで水分を取らせる
臭いし汚いからじーちゃんに近寄りたくないと言われたくなくて汚れてなくてもこまめにオムツを替えて体を丁寧にふいて常に清潔にした
週一回の入浴介護のスタッフさんにこの家はいつもいい匂いがすると言われるくらい気を使った
家事もあるので常にじーちゃんのそばにいることはできない
じーちゃんにはナースコールのようなスイッチを近くに置き、何かあればすぐこれを押してね と教えていた
真夜中にそのベルが鳴ることが増えてそのたびに夫も私も飛び起きて様子を見ることが増えた
比例して胃薬の量も増えた
じーちゃんは寝たきりなので担当医が月1で家まで診察にきてくれた
とても気難しい先生でお世話になった看護師達からは あの先生が往診をやってくれるの!? と驚いたくらい
確かに気難しくて不器用な先生だけどじーちゃんをここまで回復させてくれたし私とは色々お話してくれるので相性はそんなに悪くないらしい(でも夫との相性はイマイチ)
診察に来てくれた先生からはとても調子がよさそうでよかったですと言われ安心した
もしかしたらこのままでも1年 2年 と一緒にいられるかもしれない
介護は決して楽ではないけれど私はまだ5年はがんばれる
10年だってがんばれる
だからもっと一緒にいておくれよ じーちゃん