うなのアストルティア日記92話(アストルティア結婚相談所体験談⑧)
久々のお見合いで気合が入る、今度はもう少し全うなお見合いになるといいんだけど・・・。アドバイザーからの事前連絡で相手は堅苦しい格好は苦手なのでスーツでは来ないという。別段めずらしい話ではないのでボクも少しゆったりした格好で出向いた。
席についてしばらく待っているとアドバイザーから相手はしばらく遅れるとの連絡を受けたとボクに教えてくれた。
ああ、そうですか とボクも返して待つことにする。待つことには慣れているので携帯ゲームや本で時間を潰した。
しかし待てど相手はなかなかこない、アドバイザーも まだかかるみたいで・・・ なんて始終こちらに気を使ってくる。
確かにちょっとかかりすぎだよなぁ・・・?結局1時間半くらい待たされて相手が現れた。フツーだったら待たされた相手が怒って帰ってしまってもおかしくないレベルである。
・・・ボクはちょっとおかしい人なんで律儀に待ってましたが・・・。
自己紹介を終えて速やかに本題に入りたいところなんだけど・・・相手の服装につい目がいってしまった。
ラフなスタイルとは聞いていたが相手の服装はTシャツにジーンズ、手にはリュックサック、耳にはピアス。
・・・いくらなんでもラフすぎだろ・・・ボクの思いはよそに相手は口を開いた。まずは遅れたことへの謝罪かと思いきや、
「・・・写真よりもカワイイ・・・」
は、はぁ・・・ ボクは言葉につまってしまう。そこまではまだよかったけど、
「・・・胸も大きいし・・・」
「!」
お見合いの席で初対面でいきなりそんなことを言われて固まってしまった。
合コンだってシラフでいきなりそんなこと言われたら引きますよ?
早く帰りたかったが必要最低限のことだけはやっておこうとそのまま場所を変えた。
移動中、手をつないでこようとするのでさりげなく避けた(ボディタッチしてこようとすんなTT)
「映画でも観ない?」
こんな状況で暗いとこに行くなんてやばすぎる!!
「いえ、特に観たいのがないので結構です!!」
食事で妥協してもらった。
食事中、相手はガブガブアルコールを飲んでいる。お見合い初日にそれをやるのは本来ルール違反である。
「いい居酒屋知ってるんだけどいこうよ。」
と言われたが、
「今日はもう遅いので!」
そのまま逃げるように帰った。
家に着くなりソッコー電話、
「交際お断りします!!」
ついでに奴の悪行を洗いざらいチクった。
ああ、疲れた・・・。お見合いを始めてすでに半年近く経過しているがどんどん人間の嫌な側面ばかりが目について仕方がない・・・。男運がないのだろうか・・?このままでは男性不信になってしまう・・・。
机の上を見ると一通の封書があった、また相談所からの紹介書類である。
明日にしようかとも思ったけどハサミで封を切り中を確認した。
今度の人は・・・ああ、出身は近所か遠くへ行かなくてすむな・・・種族はウェディで・・・名前は・・・シーマンさんね。
翌日、書類にOKサインをして郵便ポストに突っ込んだ。
静かに運命は廻り始める。
(続く)