うなのアストルティア日記98話(婚約と結納)
夜景の見えるレストランでしっとりワインを楽しみながら、そっと彼が懐からだす小さな箱、静かに開けるとそこには輝く宝石がはめ込まれた指輪が。
「まぁ・・・。」
「僕と結婚してください。」
・・・なんて超ベタなシチュエーションで観たり聞いたり想像したり、誰しも一度はあるでしょう。大体こういうものがオトナの「婚約」だと。ボクも例にもれずこんな感じなのかな?なんて考えてましたが・・・何か?
婚約の形はどうであれ、その先にあるものが「結納」というものである。
結納・・・聞いたことあるけどよく知らない!なんて人も多いハズ、実際今の若い世代はほとんどやんないんじゃないかなぁ・・・(実際自分もやることになるとは思いもしなかったしネ)
辞書的な言葉で説明するならば、婚約のしるしに両家の間で品物を交換することである。(よく聞く結納金などもこれに当てはまる)
品物というのは九品とか五品といわれる物でまぁ中身はスルメとかコンブとか白髪に見立てたものとか・・・九つの品物があるということですな・・・。(大手デパートとかに売ってるんで興味のある人は見てみるといいですよ)家内安全とか子宝に恵まれますようにとか、色々な意味が一つ一つ品物にあるんですなこれが。
両家礼服に身を包み(結納はボクのうちの方が広かったのでそこでやりました)それぞれ九品と五品を並べ(相手方が九品、うちは五品)お互い正座して向かい合わせに座り家の代表者(この場合父親)が紙に書かれた祝言を述べる。これで正式に婚約は完了である。
出会って3ヶ月でもう婚約まで来てしまった、年明けそうそう忙しいことこの上ない。しかもこの間デートしたのは3回だけである、1~2ヶ月後には入籍予定なので芸能人顔負けのスピード婚である。
春、ボクの誕生日を祝ってくれるということで彼が指定した居酒屋で待ち合わせ。
「軟骨のからあげください、あと海老しんじょ、ああ焼きそら豆もいいな♪」
ボクが一通り注文したのを見計らって、
「これを・・・」
彼は大きな花束をボクに差し出した。そして一言、
「大事にするので結婚してください。」
婚約も結納も済ませたけれど、ボクはここで初めて彼からプロポーズされたんだ!
「ありがとう!ボクおうちのことも子育ても一生懸命頑張るよ!でも一つだけお願いがあるんだ・・・」
なんだい? と聞かれたのでボクはこたえた。
「ボクのやりたいことは容認してね!!」
数年後、優雅なアストルティア生活をここで約束させることに成功。
残すはいよいよ結婚式であるが彼たっての希望で海外で挙げることになった。式は二人だけで行い披露宴は後日、日本で改めて行うということになった。ボクは結婚式って半年かけてじっくりやるもんだとばかり思ってたんだけど彼は来月か再来月にはやりたい!なんて言うもんだから大騒ぎである。
海外で式を挙げるには結婚証明書がないと行えないので先に入籍してないといけない。ボクらは急いで市役所に婚姻届を提出しパスポートも仕事の合間をぬって作りに行った。事務的に名前も変わってしまい、「おとーさん、おかーさん、今まで育ててくれてありがとう。」なんて感動的な場面もなく、アパート借りたんでそっちに移動するね、なんて荷物をまとめて出た感じ。
しかもアパートは自転車でいける距離なんで仕事帰りにフツーに実家に立ち寄ってご飯食べて帰ったりしてました。
結婚式の日取りも決まって新婚旅行兼ねたわくわくハネムーン旅行の始まりである。
(続く)