昔々、7つの首を持つ竜がいました。
ある首が言います。「あの村には財宝がある。奪いに行こう」と。
他の首も「そうだ、そうだ」と言いました。
また別の日。
ある首が言います。「王国に勇者が生まれたそうだ。殺しに行こう」と。
他の首も「そうだ、そうだ」と言いました。
さらに別の日。
ある首が言いました。「奪った酒は旨そうだ。飲んでしまおう」と。
他の首も「そうだ、そうだ」と言って、酒盛りをしました。
そうして眠っている間に、難を逃れた勇者の手により、7つの首はすべて切り落とされてしまいました。
地獄で冥府の王は、竜に言います。
「私は何よりも賢き魔物として、そなたに7つの脳を与えた。しかし、全く意味がなかったな」と。
竜はこう答えました。
「王よ、おっしゃる意味がわかりません」と。
他の首も「そうだ、そうだ」と言いました。