前回のあらすじ
冬の冷たい朝、スノーボードの初滑りに向けて準備を整えていた「私」のもとに、高校時代の友人マキちゃんから突然の電話がかかってくる。結婚して県外に移り住んだマキちゃんは、一時的に地元に戻っているとのこと。生活の見直しとスキルアップのため、実家で資格の勉強をしていた彼女だが、今日は地元にいる最後の日だという。
初滑りへの期待と、久しぶりの再会という選択肢の間で「私」は迷うが、人生の大切な瞬間はこうして突然訪れるものだと感じ、決断を迫られる。
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悩んだ末にマキちゃんの誘いを受けることにした私。
「わかった。で、もちろんマキちゃんの奢りでラーメンだろ?」
私は電話越しに軽く笑いながら言った。
「家庭持ちの私にたかるとか、相変わらず容赦ないなぁ。でも、まぁいいよ。」
マキちゃんの声が明るく返ってくる。その調子は昔と全然変わらない。
「私の予定を潰した罪は重いのだよ!( ゚Д゚)フハハハ!」
そんな軽口を叩き合いながら、私たちは待ち合わせの場所と時間を決めた。
午前11時。指定した場所に、私とマキちゃんはほぼ同時に到着した。
「おーっ!」
「あーっ!」
声を揃えて呼び合ったものの、その後すぐ、私は目を見開いて驚いた。
マキちゃんだ。間違いなくマキちゃんなんだけど、10年前とほとんど変わっていない。髪型は少し違うけど、体型も肌の感じも、あの頃のままだ。
「理不尽!!」
思わず口に出してしまう私。
マキちゃんはそれを聞くなり、笑い声を上げながら軽く突き刺すような一言を放った。
「どちら様?w」
そのまま止まらない彼女は、お腹を抱えつつさらに追い打ちをかける。
「肌ボロッボロッw」
私は思わずため息をつく。不眠症のせいで肌が荒れていることは彼女にも話していたけれど、どうやら予想以上にひどい状態になっていたらしい。彼女の笑いは止まらない。
「ブフッwいいから、ラーメン行くぞ!w」
笑いを振り切るように言い放ち、私は早足で歩き始めた。
二人は、懐かしさと軽口を胸に、近くのラーメン屋へと向かうのだった。
第3章へ続く…