彼女の部屋には、たくさんのおもちゃがあった。
ピエロのように笑うもの。うつろな目をしたもの。すぐに倒れるもの。逃げ出そうとするもの。
どのおもちゃも、彼女のお気に入りだった。
「さあ、今日も遊びましょう?」
少女が手を伸ばすと、おもちゃたちは震えながらも動き出した。
ひとつ、ふたつ。並べて遊んで、転がして遊んで、時には抱きしめ、時には強く引っ張る。
おもちゃの一つが、かくんと動かなくなった。
「あら、壊れちゃった?」
少女は小首をかしげると、そのおもちゃを両手で持ち上げた。関節がぐらつき、顔にはひびが入っている。
「仕方ないわね。ちょっと休ませてあげる」
そっと床に寝かせると、ほかのおもちゃに手を伸ばした。
休ませたおもちゃは、時がくればまた動き出す。
けれど、時には完全に壊れてしまうこともあった。そうなると少女は、丁寧にそれを修理する。針と糸、接着剤、時には新しい部品を加えて、元通りに。
「これでまた遊べるわね」
壊れたおもちゃも、新しくなったおもちゃも、また少女の手の中で踊り始める。
彼女の遊びが終わることはない。
おもちゃたちが、どれほど壊れても。
壊れれば、直せばいいのだから。