「少し手を伸ばせば叶う願いですら、願望となっていませんか?」
朝、ふと目にしたSNSの投稿が、今日一日、頭から離れなかった。
本当にそうだ。あと一歩。たったそれだけだったはずのものを、私たちは「いつか叶えばいい」と棚に上げ、結局そのままにしてしまう。
駅の売店で、前から読みたかった本を見つけた。でも「今は忙しいし」と通り過ぎた。
職場の帰り道、母に電話をしようかと思ったが、「今日は疲れてるし、また今度で」とスマホをポケットに戻した。
そんな些細な一つ一つが、積み重なっていく。
手を伸ばさなかった言い訳が、人生を曇らせていく。
もしかしたら、私たちは「叶えられない願い」でいたいのかもしれない。
叶ってしまえば、もう夢ではいられないから。現実として、責任が伴うから。
そうして、「手の届く願い」すらも、遠ざける。
けれど、そんな自分にうすうす気づいているのもまた事実だ。
今日、電話をしていれば、母の声を聞けたかもしれない。
本を手に取っていれば、少し気持ちが軽くなっていたかもしれない。
このまま何もせず、叶うはずの願いを見送るのは、もうやめにしたい。
明日は、ほんの少しだけ、手を伸ばしてみようと思う。