いつのことだったか、考えさせられる出来事があった。
とある集まりで、ひとりの人が不満を爆発させていた。上司が理解してくれない、同僚が協力してくれない、運が悪い。聞いていて、私の心にはある言葉がじわりと浮かんだ。
「この世の不利益は全て当人の能力不足。」
少し厳しすぎるかもしれない。けれど私はこの言葉が嫌いじゃない。だってそう思えば、自分次第でどうにでもなる気がするから。
でも、それだけじゃない。
「能力不足は周りをも巻き込む。」
これがまた、恐ろしいほどに真理。本人の問題と思いきや、気づけば職場全体の空気が重くなる。誰かが穴を空ければ、誰かがその尻ぬぐいをする。自分が未熟だと自覚していればまだ救いはあるけれど——
「能力不足を認めず、周りの人や境遇のせいにする。」
この姿勢こそが一番やっかい。正直、私も過去に同じことをしていた。環境が悪い、タイミングが悪い、誰もわかってくれない。そうやって言い訳を並べていた。でも結局、自分が変わらなければ、何も変わらなかった。
あの時の私は、無自覚な“迷惑製造機”だったのかもしれない。
……だから今の私は、足りないと感じたら黙って学ぶ。失敗したら、自分を見直す。変えられない他人を嘆くより、変えられる自分を育てる方がずっと建設的だ。
もちろん、能力なんて一朝一夕にどうにかなるものじゃない。でも、“認める”というスタート地点に立てるかどうかで、すべてが変わる気がする。
そんなことを思っていたことを東京グールを見返していたら思い出した。
そんなお話。