ヨメサンダーの冒険日誌

あれは輝石のベルトに効果が付けられるようになると情報が出回った頃だったろうか。
当時のアストルティアはちょっとした効果付与フィーバー。
そんな中、誰かがふと口にしたのだ。

「ベルトに同じ効果を２個以上つけることって、できるのかな？」と。

――私は思わず茶を吹いた。
いや、吹いたというより鼻に入った。痛かった。物理的にも精神的にも。

聞けばその人、拾ったベルトに偶然レアドロ（もしくは通ドロ）が２つ付いてたとか。
ほほう、なるほど、それは確かに一瞬だけ夢を見るには十分な出来事である。

だがしかし、ちょっと待ってくれ。
あれだけ効果の種類がある中で、仮に同じ効果が付くことがあるならば…
レア泥だろうが呪文発動速度だろうが、毎週一回くらいは「同じ効果2個付きましたー」なんてスクショがバンバン出回ってるはずじゃないか。

それが無い。無さすぎる。
最大値ならまだしも、下位効果ですら、見かけない。
ということは、だ。
重複はしない。そもそも、されない仕様なのだ。
おそらくレア泥や通泥は特別仕様なのだろう。

戦神のベルトでさえ、ずっとそうだったではないか。
それを考えれば答えは火を見るより明らか。

私は何かすごいことを言った気になっていたが、ふと我に返る。
「いやいや、これ別に私が頭いいわけじゃないよね？」
高校生でも普通にわかる話じゃないか。

そう思った瞬間、ある真実が脳内にひらめきの宝珠のように降ってきた。
「ってことは、この疑問を真顔で言ってたあの人…もしかして育ち盛りの小学生…？」

いや、頭の成長がまだ発展途上の“未熟児”と考えると辻褄が合う。
栄養は食事より先に脳へ、だ。
この件で改めて思ったのは――

無知は罪ではない、だが堂々と言えば恥になる。

世の中、言わなくていいことってあるのね。
ありがとう、未熟なあの人。私に一つ、確信を与えてくれて。
そして私は今週も、+2のゴミベルトをそっと砕くのであった――。