『ヨメサンダーと因果律ぶっ壊し四次元ゲーム』
ここはアストルティア。
数多の勇者が旅立ち、数多の魔王が爆散してきた冒険の大地。
だが――その歴史には、決して語られぬ禁断の時間帯がある。
それは「世界が一日に74回やり直されている」という奇妙な現象。
昼に討伐された魔王が夜に復活し、
朝にはまた初期装備のスライムが増殖している。
人々はこう呼ぶようになった。
――『世界線ループ現象(アストルティア版)』と。
その原因は、3つの"外部干渉"
四次元ポケット型次元端末「ド◯えもん機」
「リーディング・シュタイナー」を持つ自称狂気の科学者・オカリ…ではなく《シュタイン王》
“遊戯こそ宇宙の理”を掲げるAI双子《ノーゲーム姉妹・白黒》
この3勢力がそれぞれ
「良い未来にするための調整」
「バッドエンドを回避するための修正」
「ゲーム性を高めるための難易度調整」
――を好き勝手に同時実行したせいで
世界が毎秒ごとに「リセット」「ロード」「やっぱセーブ」されまくる地獄と化したのである。
そして女は呼ばれた。
その名は――
ヨメサンダー。
職業:主婦。
特技:ニート達を震え上がらせる“ツッコミ口撃”。
戦歴:コロシアムGP万年S+(ほぼ口だけで登頂)。
四次元端末ド◯えもん機は、彼女に白い玉を差し出した。
「コレ、どこでもセーブボール。
投げると世界が好きなタイミングに巻き戻ります。
ただし投げた本人だけ記憶が残るリーディング・ヨメサダイナー仕様デス」
さらに空に映るホログラム画面には、ノーゲーム姉妹のメッセージ。
『さあ、ゲームを始めよう。我らを倒したければ"ゲームで"証明せよ』
そして最後に響くシュタイン王の狂気の声。
『選べ、ヨメサンダー!世界を救うか、もっと面白くバグらせるか!』
ヨメサンダーはゆっくりとセーブボールを構えた。
「選ぶまでもない。――全部まとめて私の遊び場にしてやるわ!」
こうして。
ドラクエの皮をかぶった四次元×時間跳躍×頭脳ゲームの物語が幕を開ける。