とりあえず謎の戦士団企画の採用は思い込みではなかったようです。
ということで先走って3月4日にさらけ出した二次創作小話に続いて
また小話を公開します。
もちろんこれは1ユーザーの、1読者の妄想による創作物ですので
その点はご容赦ください。
後々、齟齬などが溢れかえるかも知れません!
では、お暇な方はどうぞ~。
『エル男とドワ男 in 木工ギルド』
「お、久方ぶりじゃねぇか」
木工職人の男は、ギルドの木戸をくぐってきたドワーフに気がついて声をかける。
手にしたノミと木槌を静かに置くと、手ぬぐいで汗を拭きながら歩み寄る。
「また何か扇を探しに来たのかい?」
「うむ。『ばしょうせん』は使いやすかったんだけどね。肌の色と合い過ぎていてコントラストが足りないんだ」
エルフから見ると、その丸みと愛嬌が印象に残るドワーフの顔立ちに、真剣さが現れている。
「こだわるねぇ」
「ボクにとってはただの武器ではないからだ。同時に宿る美しさ…これを追求してこそだよ」
ドワーフの踊り子である彼の言葉に木工職人は、思わず微笑む。
嘲りではない。手足の短いドワーフ達は踊り子に向いた種族とはいえない。
ダイナミックさではオーガに、優雅さではエルフやウェディに一歩後れを取りやすい。
さりとてコミカルで可愛いダンスともなれば、プクリポ達の得意分野だ。
だが、この旧知のドワーフは美しく舞う事へのこだわりを持ち続けている。
職人が細部を突き詰める時のようなその姿勢に共感していたのだ。
「まあ、こだわる奴ってのは色々いるよな」
「むう。いつもしかめっ面のおっさんが急に笑うとは、雪でも降るのか」
「ここらに降るのは桜吹雪くらいだよ!」
すぱん!と小気味よい音がドワーフの頭から鳴り響くと、他の職人達から小さく笑いが漏れる。
「ぐぬぬ。ボクの美しい頭部の曲線が歪んだらどうするんだ」
つんのめったドワーフが涙目で顔を上げると、視線の先に丸太のようなものが見えた。
「材料? さりとて、既に職人の手が入ったように見えるな? なんだ」
柱というにはさすがに短い。木刀というには厚みが大きい。棍と呼ぶには無骨すぎる。
「あー、それが色々いる『こだわる奴』ってののひとつさ」
木工職人はにんまりと笑う。
「なんだと思うね」
うーん、むーん、ぬーーん。
皆目検討がつかぬドワーフが唸っていると、ドワーフの二倍はあろうかという男が太い腕をぬっと伸ばし、その木材らしき物体を持ち上げる。
「おお! この重量感なら、ぶんまわすにも不足なさそうじゃ! 助かったぞ」
片手で軽々と縦横無尽にそれを振り回し、そのオーガのごときエルフは相好を崩す。
「天地雷鳴士シャクラ殿。このような前代未聞のスティックの依頼は初めてでしたよ」
「いやー、よう出来ちょる! わしゃ天地雷鳴士の武器は軽すぎて苦手じゃきのォ!」
ぬはははと笑いあう二人の横で、ドワーフはぷるぷる震えていたかと思うと、ついに全身全霊を込めて口を開く。
「スティックなのかよ!!!!!!!」
これがワッサンボンのご先祖様と伝説の紅天のシャクラ、初遭遇の顛末と伝えられている。
らしい。
※漫画内でシャクラは過去に天地雷鳴士だった事が書かれていたのですが、
時期が不明なのでもしかしたら子供同士だったりするかもしれません(笑)