DQXの二次創作小説ですよ。独自解釈などあるから注意。苦手な方は退避を~
1話は2019/06/23の日誌ですよ。
◆◆6話 誕生!?オカシなやつ!◆◆
!?!?!
スウィ~トの手に握られたモノに、敵味方の視線が集まると、それはもぞもぞと動き出した。
きょろきょろとアップリケのような眼を動かしたかと思うと、ぴろんと伸びた舌が揺れる。
反動をつけて、えいやとばかりに大きく揺れると、スウィ~トの手から抜け出し、くるくると回転してその頭にぽすんと着地。
あくびの様にさらに大きく口を開くと、色とりどりのお菓子がふわふわとその周りに踊り始める。
「うわわ!? スウィ~ツランドの思い出の品が変なわらいぶくろに!?」
頭上で器用にバランスを取る存在は、些か小さいものの、わらい袋系モンスターに見える。
ららっ!
言葉に反応したのか、ぴょこんぴょこんとそれは、抗議を示すように小刻みに跳ね始める。
「菓子を纏ったピンクの姿…噂に聞いたことがあるスウィートバッグというやつなのか」
ベツゴウが口に出した名に、お菓子の輪っかが作られる。
「ピンポンピンポン…正解、一万ポイント?」
ぽつりとアイシスが半信半疑で呟く。
「そんな事はどうでもいいどーん! その袋は丸ごとマッシュウ様がもらうどどー!」
一瞬あっけに取られていたマッシュウが、それまで以上の気迫で雄たけびを上げる。
その瞳には目的に向かっての確信の光が灯っていた。
(スウィ~ツランドと言えば妖精世界の一つ、そのゆかりの品と反応したのなら間違いないど!)
ヒュウッ─
音をも超える切っ先のような突進に慌てるスウィ~ツの頭上で、もと菓子袋の口(※上部の袋の構造としての口だぞ!)から、大量のわたアメが噴出される。
「目くらましにもならないど!」
ふわふわもこもこのわたアメで飾られたマッシュウの姿に、スウィ~トは一筋の閃きを得る。
「その虹の如き輝きはフワフワわたアメ! それなら!!」
膝をついて姿勢を低くしたスウィ~トが呪文を唱えると、マッシュウの直下、足元から空気の渦が巻き起こる。
「たかだかバギマで、どうにかなっ! んん!? どわわわわ!!」
上昇する風圧があっさりとマッシュウの身体を持ち上げると、薄板の屋根をメシメシと破壊して、見る見るうちに高く高く、バシルーラの如く持ち上げていく。
「お、おのれー! その顔わすれないどー!!」
遠くなっていく叫び声に、スウィ~トはペロリンステッキを掲げて決めポーズ&決め台詞だ。
「一口食べれば丘を越え、二口食べれば頂へ、三口食べれば雲をも掴む! 貴重な魔法のわたアメを見くびったな! はーっはは!」
一時の間…。
そして開かれるアイシスの麗しき唇。
「お菓子の伝道師、スウィ~トスター☆として、それで……いい?」
「よくねぇよぉ!! お菓子で戦ってどうするんだよ! そもそも、なんでもくもくとお菓子出してるんだよおまえぇぇぇ!!」
頭の上のそいつをがっしり掴んで吐息が掛るほどの距離で、まじまじと見つめるドワーフの大きな顔。
ぺろんとそいつをひと舐めした小さなスウィートバックは、楽しそうにらら♪っと鳴いたのだった。
壁と天井に大穴が開いては、さすがにここに住むのが難しい。
ベツゴウは旧知だというお使いの依頼主を頼って、一度山を下りて修理の手配をするという。
「背負っても、いいよ」
アイシスが申し出るが、ベツゴウは首を横に振って、戸棚の中から古びたキメラの翼を引っ張り出す。
記憶された場所へと飛翔できるなかなかに貴重な使い切りの魔法の品だ。
「世の中…おせっかいは多いもんじゃ。使う事もないと思っておったが、これで町へ戻れるじゃろう」
「へへっ。そんなの渡されるなんて、ベツゴウさんの人徳じゃないの?」
「若造が生意気を言うなっ」
ぺしりとはたかれて、スウィ~トはさらに楽しそうに笑う。
「若造…いやスウィ~トスター☆よ。本当にそのレシピ、持っていくんじゃな?」
まっすぐに見つめられスウィ~トは頷く。
「ベツゴウさんの大事なものを預からせてもらう事になるけど、これはもうボクのクエストだって感じるんだ。ざらめの事もあるし、ごめんね」
頭の上、名付けたばかりのスウィートバックを視線で示すと、ベツゴウはため息をつく。
「わしが持っておっても奪われるだけじゃろうしの。譲るのはよい。だが次もまた身を守れるのかおまえ達?」
「そこは、冒険者らしく…対策するから、大丈夫」
アイシスがどや顔で応じたので、年老いたオーガはそれ以上は案じるのをやめたようだ。
「そうか。では手はしっかり握っておるんじゃ」
こうしてスウィ~ト達はグレンの町へと戻ったのだった。