DQXの二次創作小説
独自解釈等が含まれます注意
登場キャラはあくまで私の妄想です
◆◆16話 お礼に参った!◆◆
やられっぱなしじゃいられない!
先んじてやつらの求めるレシピを完成させる!!
そばで跳ね回るざらめに同意を得たりとスウィ~トが喜色を浮かべる。
「ほら、ざらめも大賛成。これならボクらしいやり方でしょ?」
えへんと胸を張る姿に、アイシスも微笑む。
「でも、結局狙われるし…危険は一緒だよ?」
「現実問題、危機に対応するための特訓は必要そうですね」
アイシスの言葉にクレアも同意したその時、プクリポの家の小さなドアをぎりぎりくぐって一人の男が入って来た。
「そういう事なら、いい場所を紹介できそうだな」
巨躯を誇るオーガは、それ以上の威圧感を纏ってサングラスを光らせる。
「あらあら、これはまぁ。お二人のお知合いですか?」
男の圧に負けぬ朗らかな笑顔のままのクレアの問いだが、二人は思いっきり首を横に振る。
「確かに財布は厳しかったが取り立てられる覚えはないよ!」
「ミャジの依頼で、ちゃんとお金も…得たし」
「顔を合わせるのは初めてだが、おれ…いや、儂にとってはこの二人は大事な関係者じゃい」
にやりと口元を歪めた男に、再びスウィ~トたちは首を横にぷるぷると振る。
ちょ、アイシスその筋の人が親戚にいたりするの!?
冤罪! それ事実無根! 厳重抗議…するっ
こそこそと言い合う二人が冷や汗を流しかけた時、ひょこんと男の陰から少女が姿を現した。
「こんにちは! えーっとスウィ~トスター☆さんとアイシスさん、それからお姉さん!」
順番に視線を合わせて声をかけ、元気よくお辞儀するエルフの少女。
「ぼくはライカ! こっちがライオウ! 雷神会から来ました」
その名を聞いて二人はやっと得心する。雷神会はベツゴウ爺さんへの荷物運びの依頼主だったのだ。
「直接…お礼、言いに来てくれるなんて……義理堅い」
大所帯ですっかり狭くなった部屋で、一通り自己紹介をすると、一行はすっかり打ち解けていた。
「あんたら二人は、それだけの仕事をしてくれたんじゃい。少なくとも、お…儂にとっては」
「ベツゴウさんは、本当のおじいちゃんみたいなものなんだよ。守ってくれてすごく嬉しい」
「いや、その身を守るので精一杯だったからな~。あんまり感謝されていいのかどうか」
ぽりぽりと頬を書き、スウィ~トは少し困った顔になる。
振り返ってみればあの時も幸運に助けられた。ざらめという奇跡によって。
「幸運も冒険者の実力のうちではありますよ」
クレアが優しく述べる。同時にその瞳に険しさも持ち合わせて。
「それにばっかり…頼れない」
その意図を理解してアイシスはあえて口にする。
先ほどの問題。自分達の実力の不足をどう埋めるかにまた舞い戻る。
「おっと、その話じゃな。その気があるならランガーオ村に行ってみんか!」
ライオウが口に出した名にクレアが思い当たる。
「オーグリード大陸北方の雪深い村でしたね。村で武術大会を開くほどで、修行を求める者達も足を運ぶとか」
「まさにそこじゃい! おれ、いや儂に伝手があるからの。修行にはもってこいじゃ!」
「く、武術修行とか、こう身体が拒否反応を起こしそうなんだけどっ!」
ぐねぐねもぞもぞと悶えるスウィ~ト。
その頭に飛び乗って踊り始めるざらめが加わったよりコミカルな動きに、ライカが目を輝かせる。
「とはいえ、寒村か。そういう所にこそスウィ~トスター☆は行かなくっちゃね☆」
ひとしきりぐねったかと思えば、すっと姿勢を正すドワ男の表情は晴れやかだ。
「ねえ、どうして?」
その変わりように思わずライカが聞くと、スウィ~トは笑顔でポーズを決める。
「そういう場所の子供達にこそ、お菓子の素晴らしさを伝えに行くのがボクだからね!」
ライカをはじめ、その心意気にはクレアもライオウも拍手を送る。
こうしてスウィ~ト達の次の目的地は決まったのだった。
◆◆16.5話 二人は仲間だね◆◆
「ところでライカお嬢さん」
「なーに? クレアお姉さん」
「ライオウ様はなぜ先ほどから、一人称を言い直しておいでなのでしょうか?」
「えへへ。雷神会の頭領はもっと威厳がいるからだって。変だよね♪」
「組織の長とは難しいものですね。うちのご主人ももっと努力していただければいいんですが。はぁ」
「お互い、支える女は大変だよねー♪」
「これはまた……ライカ様は立派なレディですね」
得意げに笑う少女に、クレアもまた微笑み返す。
同じ苦労を持つ仲間として。