DQXの二次創作小説
蒼天のソウラ要素も
独自解釈等が含まれます注意!
1話は2019/6/23の日誌からです。
◆◆18話 妖精たち◆◆
「うぬわー。ぱにゃー、マユミー助けてくれぇ」
「いや…それサイズ的に、無理」
アイシスを背負ったまま何とか扉を開くと。暖かな室内の空気がドワーフの大きな顔を包む。
一方、名を呼ばれた二人は、スウィ~ト達の様子にびっくりして飛んでくる。文字通りに。
「さむさむ~! 早く締めて早く!!」
続くマイユ達を招き入れて、戸を閉じるように急かすのはぱにゃにゃん。
黒い翼を持った小悪魔を連想させる妖精である。
「どうしちゃったの? まさかアイシスにもうつったりしたの!?」
アイシスの顔のすぐ真横から覗きこむのは可憐な蝶を思わせる白い妖精マユミ。
彼女達はもう一人の仲間と共に、この地を訪れている冒険者だ。
「風邪…ひいてない。これは罰」
心配するマユミに、訓練をサボったゆえの処置だと真顔で解説するアイシス。
「あーよかった。かいりの風邪がうつったのかとー」
胸をなでおろすマユミは、スウィ~トにもお疲れ様と声をかける。
「せ、せめて降りてから世間話をしてくれぇ」
足元ががくがくしているドワーフはここが限界か…、とアイシスは素直に背を降りる。
「それで、かいりさんの様子はどう?」
息も絶え絶えのスウィ~トの事は横に置いて、マイユが聞くとぱにゃにゃんは首を横に振る。
「相変わらず熱が高いし…快復に向かってる感じじゃないわね」
「いつもなら半日で風邪なんて吹き飛ばすわ! って感じなのに…もう三日目」
マユミも目じりに涙を溜めている。
「まさに異常事態だわ。熱に浮かされた顔、汗で張り付いた髪、苦しげで切なげな吐息…なんかもう普段は欠片も見られないかいりの色気が生まれちゃってるんじゃないかってくらいよ」
おふざけを混ぜて評するぱにゃにゃんだが、こちらも表情に焦りが見える。
「だ、だれの色気がないですって…聞き捨てなら、げほげほっ」
ぎぃっとドアの隙間から話題の主である黒髪の少女剣士が顔をのぞかせる。
「あー! 駄目だよかいりー!」
常に快活200%で生きているとぱにゃにゃんが評したかいりだが、さすがに今は弱々しさが見える。
「立ち上がるのはすごい気力だけど、ちゃんと寝ていないとだめよ」
マユミとマイユの二人に付き添われ、あっさりとベットへと戻されてしまう。
「村にも何人か、同じく症状が長引いている者がいる…グレンまで足を延ばしてよい薬などを求めるべきか」
アロルドが真剣な面持ちで呟くと、戸口の方から声が聞こえる。
「ねー! 聞こえてるー? 聞こえてるよねー?」
だがアロルドは考えに沈んでいるのか無反応だ。
「誰だろ?」
「仕方ないなー。よっこいしょっと」
首をかしげるぱにゃにゃんと共に、スウィ~トは扉を開ける。
「あー! ぱにゃにゃん! やっぱり妖精がいた! よかった。お願い助けて!」
そこにいたのは花飾りをつけた青い髪の妖精だ。
「えーっベラ!?!?」
「ぱにゃにゃんの友達? あ、このチョコ食べます?」
意外過ぎるといった顔をしたぱにゃにゃんに、スウィ~トは素朴に聞く。
謎の妖精に一口サイズのチョコレートを差し出しながら。
「なんて幸運♪ 私の姿が見える冒険者もいるなんて!!」
しっかりそれを受け取りながら、ベラと呼ばれた妖精は喜びのあまり、くるりと一回転する。
「? いったい誰と話しているんだ?」
「アロルドには、見えてない?」
玄関で騒ぐ様子にアロルドが首をかしげ、アイシスは自分の見聞きしている存在が、誰の目にも映るものでないと知る。
「そっか。ベラは妖精の国側に存在が強いものね。マユミ―! 四葉の軟膏持ってきてー」
「え、何どうしたのー? って、わーベラだー。ひさしぶりー」
声をかけられてやってきたマユミは、ベラとの再会を喜び合う。
ひとしきり抱き合った後、マユミとぱにゃにゃんは妖精に伝わる秘密の軟膏を取り出し、アロルドの瞼に塗り付けた。
(なぜかマイユも普通に見えたのだ)
「二人は久しぶり♪ そして改めましてみなさん! どうか大病魔インフル炎ザードの封印を手伝ってほしいの!」
かいりを除く一同の前で、ベラはそうお願いしたのだった。
~あとがき的なもの~
ランガーオ編では可愛い妖精二人にお越しいただきました。
おそらくかいりさんは寝込んだままです。ちょっと色っぽく(願望)
二人だけの彼女達はどんなふうに動くのか、ただいまあれこれ考え中。
特にマユミさんの戦闘スタイルとか悩ましいです!