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トロける5000年

ワッサンボン

[ワッサンボン]

キャラID
: XG969-178
種 族
: ドワーフ
性 別
: 男
職 業
: 武闘家
レベル
: 122

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ワッサンボンの冒険日誌

2020-01-19 20:21:46.0 2020-01-19 22:26:46.0テーマ:その他

甘々の冒険者達『21話・雪原の戦い』(DQX二次創作)

DQX&ソウラの二次創作ゆえ独自解釈等有り。注意!


◆◆21話 雪原の戦い◆◆


 冬の太陽の光できらめく雪原。
 白と灰、濃淡が織りなす炎があちらこちらで燃えている。


「うわあーん! また一体増えたぁ!」
「フルートやめちゃダメ~! 春の力で封印を強めてあげなきゃ。がんばれー」

 円陣を組んだ冒険者達の真ん中で、マユミに元気づけられたベラが、再びフルートに唇を寄せる。
 妖精の国でも貴重な一品から、豊潤な春の花々の香りのように心躍らせる音色が広がる。

「ぐぬぅ! その音をやめろぉ!」
 今しがた手近にいたブリザードを、まるで自らの分身のように作り替えたインフル炎ザードが、闇で形作られた自らの眼を怒りで吊り上げる。

 白い炎と表されたその姿の半身が、力を削がれに灰色に染まっていく。
 その身に絡む蔓草の鎖が、小さな紫の花を咲かせようと震えだす。

「うおお! もっとオレを冷やせぇ! 寒さをよこせぇぇスプレッダーどもお!!」
 作り替えたブリザード達に呼びかける炎ザードの絶叫。

「させん!」
 主に向かって冷気を吐き出そうとするスプレッダーの大口に、アロルドの大きな拳がぶち込まれる。

「雨天燕斬り…」
 超低空を切り裂くアイシスの刃は足を斬り飛ばし、スプレッダーは倒れながら天に冷気を吐き出していく。

 自らの身体をも遮蔽物としてスプレッダーのブレスを止めた二人を、ぱにゃにゃんの儀式舞踊が癒していく。
 詠唱と魔力構築による魔法を所作によって行うその姿は、雪の中を美しく舞う蛍の如く。

「あーちょっと、そっち抜けられるわよっ」

 そんな神秘的な妖精から飛んでくる檄にスウィ~トは額の汗をぬぐって考える。
 左右から迫った二体が今にも冷気を吐き出しそうだ。
 
(ボクはそもそもリーチが足りない。一人で素直に戦うなっ)
「ざらめ、そっちにありったけごちそうしてあげて!」
「らっ!」

 左手の盾に飛び乗ったざらめを、そのままブーメランの如く投げつけると、ざらめの操るお菓子達が、栓の如く魔物の口に殺到する。

 もう一体の瞳がギラリと光り、目標をスウィ~トに変えて大口を開くと豪雪風が吐き出される。
「狙ってくるなら、逆にやりようもあるんだよ! 吐息返し。ねじりドーナツの如く♪ってね」

 扇に乗せる魔力にバギの構成術式を組み込むと、豪雪風のブレスは螺旋を描いて跳ね返る。
「よし! いいアイデア!」

「…それ反射しても」
「ダメなのはわかってるよ! ぱにゃにゃんっ、足場を!」

 スウィ~トの呼びかけにぱにゃにゃんが、すぐさま詠唱する。

「もー、皆妖精使いが荒いのよーっ! ヒャドヒャドヒャド~」
 続けざまに放たれた氷結呪文が地面に即席の足場を作ると、スウィ~トは一気に距離を詰める。

「実際、体幹と足腰は重点的に鍛えられたんだから、これくらいはね!」
 最後の一歩で跳躍し、スプレッダーの顔面に蹴りを二発お見舞いする。

「どうだ!?」
 実体が中途半端な魔物に不安を覚え固唾を飲むが、スプレッダーはそのまま霧散する。

「いい蹴りだった。成果が出てきたな! ふん」
 手ほどきをしたゆえの喜びにわずかに笑うと、アロルドも目の前のスプレッダーをその拳で打破する。

「でも、手数…拮抗しちゃってる」
 アイシスも相手を仕留めるが、その間にもインフル炎ザードは、スプレッダーを増やしている。

「押忍っ! わたしも戦うよ!」
 右手を突き出したマユミの眉がきりりと上がる。

「マユミはちゃんと石の面倒見ててってばっ!」
「うー、でもでも」
 ぱにゃにゃんに言われて、今度はマユミの眉尻が下がる。

 マユミはベラから一つの石を託されていた。
 ポカポカストーン。
 妖精の国の春の力を凝縮させたこの石を、インフル炎ザードの核に接触させれば、再び大病魔は封印できる。

 だがこの低温の世界ではその力は常に削がれていく。
 それを防ぎ守るべく、妖精としての魔力をマユミは常に注ぎ続けているのだ。

(でも、このままで大丈夫かな?)
 マユミの心に焦りが渦巻く。ベラとて春風のフルートを吹き続けるのは骨が折れるはずだ。

 かいり……。

 ここに彼女がいてくれれば。
 太陽のような笑顔が思い浮かぶ。
 そして、熱にうなされ苦しむ彼女の顔が。

 マユミは息を大きく吸い込むと、思いっきり声を張る。
「フレーフレーぱーにゃ! がんばれがんばれアロルド! 負けるな負けるなアイシス! やっちゃえやったえスウィ~ト! ざらめー!!」

 不安なんて吹き飛ばす!
 かいりが…冒険者という者がそうやってきたように、元気と勇気で切り拓く。
 今自分が出来るのは、皆の頑張りを信じて機会を待つこと。

 すべての思いを込めて声援は雪原に響き渡る。
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