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トロける5000年

ワッサンボン

[ワッサンボン]

キャラID
: XG969-178
種 族
: ドワーフ
性 別
: 男
職 業
: 武闘家
レベル
: 122

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ワッサンボンの冒険日誌

2020-01-26 21:38:50.0 2020-01-27 06:13:14.0テーマ:その他

甘々の冒険者達『22話・スターの極致』(DQX二次創作)


DQX及び蒼天のソウラの二次創作。
独自解釈等有りますので注意!

1話は2019/06/23の日誌から。


◆◆22話 スターの極致◆◆

「声を限りに叫ぼうと、地の利はオレにあるんだよォ」
 広大なラギ雪原には容易にスプレッダーへと変貌させられるエレメント系の魔物が生息する。
 大病魔の名に恥じぬほど、次々と手下を増産するインフル炎ザードは嘲るように笑っていた。

「一度は封じられた魔物、中心部を打ち砕き…核さえ見出せれば」
 丸太のような足で、スプレッダーの腕部を蹴りつぶし、アロルドが歯噛みする。

 多数を相手取るのに向かない事がこの状況を招いていた。

 特にアロルドとアイシスが足止めされたままなら、勝てるはずがない。
 今のボクの実力じゃ扇やバギでまとめて薙ぎ払えていないし、何か別の手を考えなきゃ…。

「もう一度足場作ったらいけないっ? って、ああ、こっちにも来てるじゃない」
 ぱにゃにゃんも、眼前に迫ってきた一体に向き直りバギクロスで迎え撃つ。

 スプレッダーを一か所に集める。
 密に集る蟻のように。
 それが出来るのは……やっぱりボクだ。

 絶対に到達して見せる。今日は絶対ミスれない!

「よーし! 行く先々で子供達に寄って集られるスウィ~トスター☆ モンスターだって集めて見せるぞ!」

 ららっ~♪
 決意に何かを感じ取ったのか、ざらめが定位置へと飛び乗ってくる。

「さー魔物様方、お立合い~! そろそろ戦いもお疲れじゃな~い? 甘くて美味しいもの、欲しくなるよね~♪」

 目の前のスプレッダーの振り下ろした腕を、くるりと回って避けながらスウィ~トが満面の笑顔を浮かべる。

「そんな本日ご紹介するのは、知る人ぞ知るエルトナの避暑地に受け継がれるかき氷! ほーら、インフル炎ザードくんも興味がわいちゃったかな♪」

 信じられない程能天気な声の調子で、身振り手振りも忙しく踊るようにしながら口上は続く。

「じっくりと時間と環境だけで凍らせた透き通る天然氷が、名刀斬鉄丸にも匹敵する名工の刃が使われた氷削機で、ふわっふわに降り積もる様は、ボクちゃんの吐息で飛んでいかないかとハラハラドキドキ!!」

 アイシス以外が面食らい、どこもかしこも戦いのリズムが崩れる中で、スウィ~トの調子はどんどん上がる。
 不可視の力と共に。

「そこにとろ~り、たっぷりかかったのは~、絶妙な甘みと酸味を持つ苺、エルオトメの特製ソース! 作りたてのソースからは漂う濃厚な甘い香りが……んん~、もう我慢できな~い!!」
 ららーっ!!

 感極まったという表情で、器からスプーンで氷を掬い取り、ぱくりと口元に運ぶスウィ~ト。
 同時にざらめもまた、それを食したかのような歓喜を高らかに謳う。

 もちろんここに現物などはないっ!!

 だが、その顔が、声が、漏れる息が……。
 現実の認識を突破する時、モンスターであろうとも表現領域へと囚われる。
 スーパースターの境地モンスターゾーン。

 否、スウィ~トスター☆の極致、食レポゾーン!!

 魔法儀式にも匹敵する表現力に、そこに求める物があるかのようにスプレッダー達が殺到する。

「ああ…食べてぇ……じゃねぇ!?」
「はう。かき氷でよかった。雪原じゃなかったら私も寄ってっちゃったかも」

 炎ザードとマユミが同時に自分を取り戻す頃には、アイシスとアロルドは動いていた。

「今日のは…完璧、グッジョブ」
 仲間の仕事っぷりに満足して笑うアイシスの表情が、刃の届く距離に達すると同時に引き締まる。

 突然の接近を許し、炎ザードは毒々しい濃緑のブレスを吐き出すが、アイシスの二刀は止まらない。
「くっそお! この至近距離でオレの病になぜかからん!!」

「事前準備の勝利…。情報は大事。えいっ、やっ」
 縦横に白刃が閃き、白き炎の身体に裂けめが走り、毒々しい筋張った果実の如き紫の核が、ちらりとのぞく。

「見えた…!」
 引き戻した腕を突き入れようとした瞬間、インフル炎ザードの炎のような身体は激しく燃え上がりその傷を塞ぐ。

「残念。病まねぇなら、凍えて果てろよォ!」
 その勢いは両腕まで広がり、冷気の巨大な棍棒となって振り下ろされる。

 それを両手でがっちりとアロルドが受け止める。
 両者のわずかな隙間に身をこじ入れる。
 突き上げるように刃を滑らせ、今度は真一文字に裂き割るが、無理な体制からの二撃目は、またも修復によって阻まれる。

 二人のオーガは休む暇なく攻め続ける。
 斬り裂き、砕き割り幾度も核の保護を打ち砕かんとするが、終わる事のない修復がそれを阻む。

 まだ一手。勝利には届かない…。
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