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トロける5000年

ワッサンボン

[ワッサンボン]

キャラID
: XG969-178
種 族
: ドワーフ
性 別
: 男
職 業
: 武闘家
レベル
: 122

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ワッサンボンの冒険日誌

2020-02-23 20:00:41.0 テーマ:その他

甘々の冒険者達『26話・スウィ~トスター☆のクエスト』(DQX二次創作)

DQX及び蒼天のソウラの二次創作。
独自解釈、設定等有りますので注意です。


◆◆26話 スウィ~トスター☆のクエスト◆◆


「彼らには反省するきっかけが必要なのだと考えました」
 ポワンは過ぎ去りし日の事を思い起こす。

「そこで私は、その夢に一つの困難を付け加える事にしました」

 印象深い二人の笑顔に向けて、私はこう問うたのだ。
「魔法のレシピを作ったという事は、時を経てもなお食される菓子を作るつもりなのですね?」

「もちろんですとも! こいつなんて弟子がいるぐらいですからな!」
「やめろよぉ。照れるだろうぉ~」

「ならばやはり、今、あなたの達の周りの人々にも目を向けなければなりません。未来の事は一度、置いておかなければ」
 私はそうして、彼らのレシピを封じて読めなくする。



「それがきっかけ?」
「キラキラと輝く未来を見つめすぎちゃだめよ♪って事かー」

「ちょっ、それポワンさまのマネじゃないでしょうねっ」
 声色を変えて言うスウィ~トをベラがぐにぐにと押しまくる。

「ですが彼らは今を顧みるどころか、大いに盛り上がり喜びました」

「「は?」」
 スウィ~トとアイシスが完全にクエスチョンマークを浮かべる。



「おお!? なんだか伝説のレシピっぽくなったんじゃないか!」
「オレ達の絆の証がまさかのパワーアップかぁ。うちの弟子にそれっぽく渡したら、カッコいいかもしれないぃ。この封印を解いて、オレを超えてみせろぉとか」
「それはいいぞ! 我らの偉業がレシピと共に伝えられるな! もしかしたら貴様の弟子もアストルティアにくるかもしれん。楽しみだ!」



「うわー。とことん振り切れてるなあ。その境地はボクにも無理っぽい」
 恐れる事を知らないポジティブパッションにスウィ~トも感嘆する。

「自分達はレシピを使うまでもなく分かっている。だから封印も…未来のお楽しみが増えただけ?」

「だったようです。正直に言えば私も困り果てまして。そこでその…お帰り頂きました」
 時間による人生経験が彼らを正してくれると信じて、と付け加えたポワンの顔には達観が見えた気がした。

「なんだか…想定外?」
「というか予想外というか…。ちょっと気が抜けたかも」
 顔を見合わせたスウィ~ト達は、一拍置いてこらえ切れなくなった様に笑い出す。

「リモとかこの顛末知ってるのかな! 自分の師匠がアストルティアで人間とこんなに楽し気に冒険してたとかさー!!」
「きっと知らない…そして、知ってもたぶん受け入れられない?」
「あー、きっとそうだよな! あいつそういう頑固っぽいかんじするもんなぁ」

 肩の力が抜ける。
 もっとも今は肩はないが。
 命を狙われた恐怖、憤り、恨みすら、バーウェンとポルリオンの素っ頓狂な冒険譚に吹き飛ばされる。

「ポワン様の話、すごくありがたかったです。本当に感謝します」
 スウィ~トの礼にポワンは微笑む。

「何か心が晴れたようですね」
「はい♪ やりたいことが一気に増えました」

 至宝のウ・ア・ラ・ネージュと極限トライフルをこの舌で確かめてみたくなった。

 ウ・ア・ラ・ネージュは卵白をメインとする雪を思わせる菓子。球状に茹でたフワフワのメレンゲをソースに浮かべて、カラメルやシロップをかけて食す。

 一方でトライフルはケーキのスポンジなど余り物を器に詰めたのが始まりとも言われる。
 家庭的で手軽なデザートを基礎とするが、器にも中身にも多種多様に凝る事が出来る点を考えれば、一言で表せるほど単純な品ではない。

「二人の目指したスウィーツを食べたくて、今まさに涎がでそうです♪」
 意地汚いなーいとベラが冷やかす。

 きっとその味を求める過程でバーウェンとポルリオンの二人のように、自分達とリモ達も運命が交差するだろう。
 その時に暗くて冷たい道ではなく、明るく楽しい道を選び取ってみたい。

「そして問題もいっぱいみたいだったけど、ボク達アストルティアの後輩も、二人みたいに上手くやってみたいなってちょっと思っちゃいました」
 スウィ~トスター☆の冒険は、クエストはそうでなくっちゃらしくない。
 満面の笑みで告げる緑色の少年。

「ちゃんと周りへの迷惑も考えてお願いしますね」
 ポワンがいたずらっぽく微笑む。
 ベラのように、ぱにゃにゃんのように、妖精らしくあどけない雰囲気を纏って。

「はいっ! お任せを♪」

「レシピがそろったならこの粉をかけなさい。私の魔法は解けてすべて読めるようになるでしょう」
 その返事に期待を込めてポワンは光の粒子が入った小瓶を手渡すのだった。
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