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トロける5000年

ワッサンボン

[ワッサンボン]

キャラID
: XG969-178
種 族
: ドワーフ
性 別
: 男
職 業
: 武闘家
レベル
: 122

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ワッサンボンの冒険日誌

2020-06-14 14:43:05.0 テーマ:その他

甘々の冒険者『寄り道04.かいり、ぱにゃにゃん、マユミ編』(DQX二次創作)

寄り道は甘々の冒険者達の外伝的な何かです。
私個人の二次創作です。ご本人さん公認ではありません。ご注意ください。


◆◆白銀の白熱◆◆


「なるほど…ここで戦ったわけね」

 陽光に照らされた雪原は目に眩しいほど煌めいている。
 視界の片隅を氷の塊を背負ったようなつららスライムが、のんびりと這いずっていく。

「なーんもないわねっ!!」

 その白銀の世界で烏の濡れ羽色の黒髪と漆黒の鎧、この世界に反逆するかのような色合いの美少女は見たままの様を口にした。

「この辺はすぐに吹雪くし、戦闘の後すらわかんないわよ。だから言ったのに」
 呆れ顔の黒き妖精ぱにゃにゃんが、やれやれと肩をすくめる。

 そもそも自分が参加できなかったパーティーメンバーのクエスト。その現場を見てみたいという突拍子もない言葉に、押し負けてここまで来てしまったのだ。

 ちなみに無駄足になるとの説得はこの元気娘であるかいりには一向に効かなかった。

「ほらほら~かいり、病み上がりなんだから、ちゃんと休憩していこうよ」
 そんな二人のやり取りの後ろ、小さな体で荷物から携帯食を引っ張り出し、白い妖精マユミが手を振る。

「んー、見たかったなあ二人の活躍。話を聞いただけで体がうずうずしちゃったし」
 簡単な食事を済ませて、ぱにゃにゃんとマユミがあれこれと荷物を片付けている間、何とはなしに新雪をすくい上げて、ぎゅっぎゅっと丸めてみる。

「ていやー!」
 本能の赴くまま放り投げると、雪玉は美しく弧を描く。

「まったく子供ねー」
「あ、マユミもやりたいー」

「つめてぇっ!!」

 ほのぼのとその姿を眺めていた妖精達の言葉に続くのは、雪玉の落下地点あたりからの声。
 ちょうどこんもりと盛り上がった小山の向こうから響く声に、三人ともびくりとする。

「え、まさか誰かいたの…えーっと、ごめーん!!」
 とりあえず謝罪の言葉を投げかけると、小山からぴょこんとエルフの少女らしき顔が見えた。

 が、かいりが続く言葉をかける前にその顔は下へと引っ込む。

 ひゅーー……ぼすん。

 同時にかいりの少し右側に、雪玉が飛来して鈍い音を立てる。

「え…」

 再び先ほどのエルフの顔がぴょこん、すとん。

「ねえ、ぱにゃ…これって」
「あー、あの子きっと観測手よね…それにあの顔は…」

 片付けの手を止めた妖精達が、何が起こりつつあるのかを把握する。
 一方、悪い事をしちゃったとの思いが念頭にあったかいりは、まだ気づかない。

「本当に悪気はなかったの、ちゃんとそっち行って謝るからっ!」

 英雄たるものただの傍若無人では話にならない。時には謝る事も出来る女である。
 だが近づこうと一歩踏み出した時、その顔面にひんやりとした雪玉が炸裂する。


「……ぷっ」

 顔にへばりついた雪を払い、口に入ったそれを吐き捨てる。
 かいりは相手の意図を完全に理解していた。

 のちのぱにゃにゃん曰く。その顔は劇画であったという。

「そっちがその気なら容赦はしないわよ! この勝負受けて立つわ!!」

 彼方を進むつららスライムも思わず身を引っ込める程の力強い宣言に、マユミも嬉しそうに続ける。

「白銀世界の白熱スノーボールバトル~。ス~ボ~バ~~~はっじまるよ! いぇい!」

 小さなマユミの身体から元気いっぱい、スタートが告げられる。
 その名の通り雪玉をぶつけ合う競技。かいりは大きく右手を水平に振ると掻きだした雪を、左手を添えて高圧縮。

「ていやー!!」
 小山の向こう側に向かって次々と投げ始める。


「うおおお、なんだ!? 妖精も加わったのかどっ?」
 突然の豪雨のような雪玉の飛来に、先ほどの被害者が驚愕する。

「否定。推定人間女性冒険者一名の連投によるもの」
「肩も強けりゃ、狙いもいいな…シロイロ半分顔が雪にまみれてるど」

 雪をぬぐってやりながら、かいりの被害者もといドードー鳥のマッシュウはめらめらと闘志を燃やす。
「あの病気のせいで溜りに溜まったこのフラストレーション、ここで思いっきり吐き出してやるどーん」

 負けじとシロイロに雪玉を量産させてマッシュウも全精力をかけて投げ始める。

「えええいっ! まどろっこしいどーん!」
 終いには姿を隠すことをやめて、どうどうと身を乗り出しての応戦。

「魔物!? いえ、今はそれどころじゃないわね。ここからが本気の勝負よ!」
 かいりもかいりでもはや剣を抜くこともしない。むしろここで抜いたら負けとでも言わんばかりだ。

「あーやっぱり…あの時の魔物だったかぁ」
「病気直ってよかったねー」
「やれやれね」

 笑顔のマユミと、ため息を吐いたぱにゃにゃんの視線の先で熱いスボバは続いていくのだった。
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