DQX及び蒼天のソウラの二次創作。
こちらは個人の妄想による作品ですので、登場キャラ、事件などに独自の設定がある場合があります。
お読みになる方はご注意ください。
◆◆46話 手分けして◆◆
マグロを吊り上げる姿の幽霊がいる。
霊体のマグロは本体ではなくむしろ付属品、エフェクトの部類である。
ディオニシアとリーモニンの説明に一同はふむふむと鳩のように首を振る。
「はえー。確かに糸は見えたけどそこまで断言できるんだ。なんだか悔しいっ」
一致した推測を披露されてスウィ~トが複雑な表情を見せる。
「シアは僧侶としてもデスマスターとしても頼りになるからね~」
ユルールが大切な誇れる仲間の事を胸を張って保証すると、シアはもったいないと慌てた様子だ。
「ん? デスマスター?」
今まで聞きなれない言葉にスウィ~トが首をひねると、アマセがすらすらと補足してくれる。
「死と霊魂に縁の深い死霊召喚の使い手だ。誤解を生みやすい力だし以前はしーちゃんも隠してたんだけど、冥王なんて死の概念と直結した相手と事を構えるとそうも言ってられないって覚悟を決めてくれてさ。いやー正直あの時の姿は無茶苦茶格好良かったってもんでさー! それ以来こうやって縁のあった冒険者なんかにも打ち明けたりしてて~」
「長い長い。本筋からもずれてるずれてる」
どんどん調子を上げるアマセにやれやれ顔でツッコむヨナ。
「そもそもなぜ私の事をあなたがぺらぺらと……」
一方怒気どころか殺気を放ちかけているのはシア。
魔法も特技も使っていないのにその背景には怨念が群れ集いそうなオーラが見えた気がしてくるほどだ。
「あ、やべ…」
思わず素の顔で言葉が漏れるアマセの頬を冷や汗が伝い、リモやスウィ~ト達も息をのむ。
「うんうん。あの時僕達の絆はより深まったって感じたなぁ。ねー」
しかしユルールはそんな空気をバッサリと切り捨てて、感慨深くシアに同意を求めていく。
「あ……、は、はい///」
シアの褐色の肌に朱がさすのがわかるくらいに、動揺した彼女は頷いて同意するのがやっとの事だ。
「わー、これは人たらしだわー! ゆるるんやるぅ」
いいものを見たとにやけた猫のように笑って、このこのと肘でつつくイズナに首を傾げるユルール。
「自覚がないのがいい所であり、罪な所なんだよねえ。ほらほら深呼吸して」
ヨナがシアを落ち着かせながら苦笑いを見せる。
ユルール達四人の培ってきた仲間としての絆が温かいものなのだろうと本能的に理解できる光景。
そうしてやっと落ち着いた空気が戻ってきたところで、リモが切り出す。
「今回、危険は低いと想定されますし各々分かれて捜索としましょう。私はイズナと共に探しますので、皆さんは皆さんで」
「四対二だとバランス悪くなぁい?」
「全然大丈夫だからっ!」
イズナの一言を勢いで投げ飛ばすリモだが、今度はベットから飛び降りたスウィ~トが手を上げる。
「だからボク達も解決に動くつもりなんだってば! ちょうど二人だからそっちに加わったらいい感じでしょ♪」
(ああぁ、あちらを立てればこちらが立たないぃぃ)
アストルティアの格言だったのか、魔界の格言だったのか。
そんなどうでもいい事がリモニーザの脳裏をよぎる中、さして有効な反論が思いつかず二組のパーティーが編成されてしまうのだった。
それぞれの捜索範囲を分担し、医務室を出たところでアマセがはたと立ち止まる。
「いけねえ。連絡用にこれ渡しておかないと」
懐から紙でできた人型を取り出すと、足取り軽くアイシスへと声をかける。
「ほい。これ持ってみてくれるかい?」
素直に受けとってもらうと、アマセは同じものを取り出して話しかける。
「得意技の一つでね。これでいつでも俺と話せるってわけ」
「得意技の一つでね。これでいつでも俺と話せるってわけ」
同じ声が本人からと紙人形から発せられて、思わずビックっとするアイシスにアマセは満足げだ。
逆にそっちからしゃべる時はだなとアイシスのそばであれこれと教えながら、他の者達の意識がそれた隙を狙って、そっとつぶやく。
あの二人には気を付けてくれ。杞憂かもしれないが忠告。魔族かも、だ。
先ほどとは比べ物にならぬほど目を見開いたアイシスにウィンクを返してアマセは、何事もなかったように話を続けるのだった。
※ディオニシアさんのデスマスター解禁については私の勝手な妄言です。
とくにユルールは4巻の時点で特殊な蘇生に関しての発言がありますので、ただの僧侶と認識してなかったはずです。
でもでも! 死を司る冥王との戦いで、死に関わる知識、技術を完全解禁して立ち向かうシアさんを妄想したらカッコよかったんですよぉ!