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トロける5000年

ワッサンボン

[ワッサンボン]

キャラID
: XG969-178
種 族
: ドワーフ
性 別
: 男
職 業
: 武闘家
レベル
: 122

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ワッサンボンの冒険日誌

2020-10-25 13:59:43.0 テーマ:その他

甘々の冒険者達『60話・理想の竜』(DQX二次創作)

DQX及び蒼天のソウラの二次創作。
独自解釈、公式との齟齬もあります。
ゲストキャラの言動も私の妄想です。
問題ありましたらご一報ください。
対応いたします。


◆◆60話 理想の竜◆◆

 竜、龍、ドラゴン。
 その名を関するモノたちへの思いの強さは世界に生きる者たちの本能なのか?

 全知の天空竜
 世界を征さんとする竜の王
 麗しき姫を閉じ込めるドラゴン
 魔瘴と生命力に満ち溢れた龍
 罪を背負い人に変じたという雷竜
 死すことのない人食い火竜
 生贄を求める五首龍
 金銀財宝の守護者
 勇者によってのみ打倒される怪物
 究極の食材
 太古龍より賜る龍の名を冠する力


 竜の名のもとにあまたの伝承と認識に彩られ、遥かな古代から人々は憧れと畏怖をドラゴンに抱いた。
 魔族や魔物達ですらその傾向は無視できず、アストルティアの民に至ってはさらに顕著だ。

「アストルティアのやつらは大昔からずーっと、ドラゴンに夢見とるねん。で、ある時幼い竜は思ったそうや。みんなの理想の竜になってやるんやーってな」
 ご苦労なこっちゃとジョイフーは鼻で笑う。

「その竜を師匠は求めた? 他のドラゴンではなくて」
 なぜだと理由を思考するリモニーザの真剣な表情。

「アストルティアの太古龍ってのはな。あくまで仮面(ペルソナ)なんやって話を聞いた事あるか?」
 急になんだと怪訝な顔をするリモ。

「強大すぎる力の一部がこの世界に形となって存在するって感じの話なんやけどな。理想の竜は逆なんや。無茶苦茶沢山の小さな竜を思うイメージをその身に受けて、特別な竜として存在しとる」
「憧れや畏怖、希望や願望をドレスのように着飾った竜ってわけねぇ。それはまたお洒落~」
 イズナの例えは的確だった。理想の竜はアストルティアの人々の願望が形作っているのだ。

「そこで面白いんがこの竜は相対する者によって違う姿を見せる事やな」
「自分が憧れたり、恐れたりする竜となる…ということ?」
 その通りやねん!とリモニーザの確認に大仰なアクションで応える。

「リモリモの師匠は理想の卵を抱く竜になると踏んだわけかー」
「あの…ド単純師匠め。それで私を置いていったのか」
 私には私の竜へのイメージがある。それが混ざる事を避けたかったのだろうが……。
 人間などでなく私にも夢を共有してくれたならば、共に行くことも出来たかもしれない。それが悔しくてただただ唇を噛む。

「シロイロ……おまえだけを連れて行ったのも、そういう事だったのね」
 心を落ち着けて傍に控えた少女の頭を撫でる。
 作られたゆえに自我の希薄な彼女なら、旅に同行させてもらえたわけだ。
 そしてだからこそ、形見となったレシピを持ち帰ってくれたのだ。

「大魔王様代理様の意図は、不明」
 リモニーアの優しい手つきに首をかしげるシロイロに微笑んでから、ジョイフーに向き直る。

「理想の竜に会う方法はありますか?」
「そこまではわかってへん。それにどのみちあっちのドラクロン山地に行かんことにはなー」
「確かに、そうですね」

 こっちとあっち。
 そうなのだ。ユルールが、スウィ~トが、リモニーザ達がいる場所は正確にはレンダーシアではなかった。
 なぜならこっちのレンダーシアは大魔王が創造中のもう一つのレンダーシア…小さな別の世界なのだ。

「行く方法はもちろんあるよねぇ」
 それがないのであれば、もはや魔瘴の霧で大陸を封じる必要などない。ゆえにイズナは確信していた。
 が返答は期待外れである。

「もちろんやけど大魔王様、いやせめて四魔将クラスの権限がないと…好き勝手に使われへんな」
「そうなるわよね」
 どうしたものかと考えを巡らせるリモニーザ。室内を一時の沈黙が満ちる。

「ジョイフーさまー! たいへんですー!」
 沈黙を破ったのは溶けた巨大なチーズに顔と腕を与えて帽子とマントを着せたような魔物だ。

「シノバスの生家記念館で暴走ですー! 異次元のダンジョンができてますー!」
 手に持ったフォークを振り回して大騒ぎする様子にジョイフーが青筋を立てる。

「言葉に気を付けんかい! 大魔王様の作ったもんが暴走やとーっ!」
 壁に立てかけてあった巨大な筆を持ち上げて、そのまま棍のように薙ぎ払ってその魔物、フォンデュを殴りつける。

 ぐにゅうとくの字に折れ曲がった体がそのまま吹き飛ばされて、飾られた食器類を巻き込んで派手な音を立てるのをリモニーザ達は呆気にとられて凝視する。

「ひいぃぃ。ごめんなさいー。でも冒険者がやって来てダンジョンが出来たのは本当なんですー」
 何度も頭を下げながらあれこれと説明する様を見ながらイズナは考えを整理していくのだった。
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