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トロける5000年

ワッサンボン

[ワッサンボン]

キャラID
: XG969-178
種 族
: ドワーフ
性 別
: 男
職 業
: 武闘家
レベル
: 122

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ワッサンボンの冒険日誌

2020-11-08 22:04:20.0 テーマ:その他

甘々の冒険者達『62話・別れ?』(DQX二次創作)

DQX及び蒼天のソウラの二次創作
独自解釈、公式との齟齬もあると思います。



◆◆62話 別れ?◆◆



「レシピの片割れを取り戻す必要があるんか。そりゃまずいかもしれんの」
 リモニーザの師が残したそれをスウィ~トスター☆達が持つことを聞かされたジョイフーの第一声であった。

「レシピが無事ではすまない可能性があるということ?」
「そうや。そもそもシノバス記念館は無理解な民衆が芸術の萌芽を、倫理とか道徳とかで磨り潰す愚かさを表した作品や!」
 明後日の方向に話を進めるジョイフーは、客人達の訝しげな視線を放置して言葉に熱を込める。

「数百年も前にモンスターに変化するほどの創作への想いを持ちつつ無残に冒険者達に討ち滅ぼされた存在」
 哀悼の意を込めるように瞳を閉じて続ける。

「その無念、恨み、執着すらも再現したうえで、本来受けるべき栄光をこの世界に設えてみせた。大いなる批判精神と精緻な造形がそこにはあるんや」
「ふーん。あなたの目から見た芸術の評はまあそれでいいとしてぇ。本題はぁ?」

「大魔王様による創造物でありながらあそこにあるんは本物の怨念や。寸分たがわずのな。それが渦巻いて迷宮にドワーフ達を呑み込んだんやったら、間違いなく恨みを晴らすためや」
「恨みたってぇ、なんでまたスウィ~ト達が行った途端に? まさかマジに偶然シノバスを討ったていう冒険者の血筋か何かってことぉ」

 イズナの考えに長いキリンような首を横に振るジョイフー。
「そこは想像の域を出えへんけどな。ただ恨みを晴らすことが出来たんやったら」

「迷宮が消えてなくなるかもしれないのね? レシピを呑み込んだまま…」
「可能性は低くないんちゃうかなぁ」

 正直に言えばリモニーザは今の今までレシピが失われる事を想像していなかった。
 敵であるアストルティアの民の手にあっても、その価値は失われずいずれ己が手にするものだと疑っていなかった。
 ……。
 いや、最近であればあの男の手にある事に、所在が分かっている事に一種の安心すら感じていたのだ。

(レシピの危機によって、そんな事を自覚させられるなんて……)
 言葉にならぬような呟きと共にリモニーザは行動を決断する。

「来て早々で申し訳ないけれど、私はその迷宮に向かわせてもらう」
 踵を返す姿にシロイロが続こうとするが、ジョイフーがそれを引き留める。

「ほんのちょっと待ってえな。案内役を付けたるさかい。ほんますぐやから~」
 言いながら割って入るようにドアを開けて船長室を出ていくジョイフー。

「あ、いや…おかまい……なく」
 その慌ただしい動きにリモニーザの声はぽとぽとと床に落ちるように勢いを無くすのだった。



「それじゃあ行ってらっしゃい~」
 にこやかに手を振るのは誰あろうイズナであった。
 旅の荷物を客間に預けて完全に手ぶら。ジョイフーの隣で完全にリモニーザ達を見送るスタンスである。

「ま、まあ適当に羽を伸ばしてて…あなたの気まぐれは一生ものだものね」
 少しばかり引きつった顔で手を振り返し、シロイロともう一人、翼をもった指揮者の如き怪人アモデウスを伴いリモニーザは道行を急ぐ。

「しっかりお勤めしてくるんやで―オノレフ~」
 案内としてつけた手下に声援を送ると恭しく一礼を返してくるのに満足し、ジョイフーは隣へと視線を落とす。

「ほんとにここで待っててええんか? こっちはかまへんけど」
「んー、長旅で疲れてるしぃ。あっち行ったらもっと疲れそうだし~」
 両手を組んで天に伸ばしぐんと伸びをすると、イズナの美しいプロポーションのラインが際立つ。

 一級品の彫像を見たような錯覚に陥った自分に苛立ちながら、友好的な言葉を探してジョイフーは今一度船内にイズナを案内するのだった。


「夕食は意外と美味だったわねぇ。まあ、会話があれじゃ、味もへったくれもないんだけどっと」
 大魔王の偉業を褒めたたえながらも、水を向けるとそれを理解する自身の優秀さ、特別さを滲ませるジョイフーはやはり狂信者であった。

「ふんふんふふ~ん♪ どこにしまってたかなあ」
 とはいえイズナ自身に対しての敵意は低い。やはり狙いはリモリモだと確信してイズナは鼻歌交じりに手荷物をひっくり返す。

「これと、これと……あったあった、これも~」
 色とりどりの宝石や香水の小瓶、口紅などを一つ一つテーブルへ並べていく。

「じゃあ、久々に本気出して繋げてみましょ~」
 新作のコスメを前にした少女のように笑いながら、イズナは手にした口紅を床へと向けたのだった。


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