祝蒼天のソウラ連載100回達成!!
中島諭宇樹先生おめでとうございます!
こんなにすごい漫画の一節で《真の太陽》の一人に選ばれた感動忘れません!
僕には大したことはできないのですが、せっかくなので100をテーマに二次創作してみました!
『蒼天のソウラ』謎の戦士団ネタ。
DQX、蒼天のソウラの二次創作です。
なのでネタバレもありえます。
登場している皆さんのキャラクター性、セリフ、心情等はすべて勝手に想像してます。
◆◆◆100◆◆◆
「ゼタ、ゼタ! おはよう! おめでとう!!」
「うんうん! とってもとってもおめでとー!!」
ギリとガミ、互いをそう呼ぶワンワンスタイルとニャンニャンスタイルの少女達は、開口一番村長に元気いっぱいの祝福を捲し立てる。
「それはさんざん昨日聞かされた。少しは落ち着けんのか」
細面に吊り上がった眼、ピラニアを想像させる鋭い歯並び。
言葉で表現すれば、いや実際対面してみても圧のあるウェディのゼタはこの新たな村の村長だ。
「めでたいことは、おめでたい事なんだぞー!」
「そうだそうだ~。今日も祝って何がわるーい!」
窘められたにもかかわらず二人は猛反撃だ。
「そもそもゼタ、珍しく嬉しさ隠せてないぞー」
「そーじゃんそーじゃん! にやけてるぞ~」
まったく緩まない二人の攻め手に思わずぐぬぬと奥歯を噛み締める。
もっともそれは怒りや悔しさではない。
照れ隠しと戒めだ。不本意ながらも繋いだ命が、さらなる命を繋いだ事を喜ぶ自分を感じるがゆえに。
ルシナ村の村長ゼタは昨夜――父となったのだった。
「おじゃまします」
控えめな挨拶と共に入って来たのはズィユだった。
いらっしゃいと応じたセレンもまた控えめな声。大きな仕事をやり遂げた彼女のそばでは、赤ん坊が眠っている。
沢山の命が消えた場所だった。断ち切れぬ絶望が積もった土地だった。
だが希望を手に誓いあった場所でもあった。
まずは鎮魂のために村を興した。そして今日、新しい命と希望の生まれる場所へと辿り着いた。
「ありがとうね。セレン」
戦友であった彼女が横たわるベッドのそばに寄ると、自然とそんな言葉が湧く。
「ううん。みんながこうやって祝ってくれる。ここがそんな村でこっちこそ、ありがとうって思うよ」
昔から人を気遣う彼女の優しさはこんな時でも変わらないなと、ズィユは少し笑う。
「もう。笑うところ?」
少し膨れてみせるセレンの姿は、ここに温かいものが確かにあるんだと語り掛けるようだった。
「改めて、おめでとう」
「うん。ありがとう」
「ねえ、知ってた? もう一つおめでたいんだよ」
「なんのこと?」
ズィユの問いに全く心当たりがなくてセレンが戸惑う。
「くさなぎが教えてくれたの。赤ちゃん、ちょうど百人目の村人なんだって」
「えっ……あ、そっか」
大きな戦のそのあとに起こされたこの村には、今現在は百人を超える人々がいる。
だがそれは、本当の村になる過程の事だ。
共に戦った者達でここに残った者達の中には、いずれ自らの目指す道へと戻る者達も少なくない。
「それでちょうど百人目なのね」
生まれてきた我が子が一つの区切りを担っていた。
そしてそれは、さらなる発展への第一歩でもある。親の贔屓目と言われればそれまでなのかもしれない。
でも、その100という数字に誇らしさを感じてセレンは微笑んだのだった。