レンタル衣装貸し出し期間。世界中でお着替えを楽しむ声が飛び交う中、都には今日も【恥ずかしがって着れない者】が存在するのだ。
そんな人たちを追跡し、様々な罠を仕掛けては無理やりにでも着せる。それこそがお着替え警察なのだ。
「お着替えの楽しさを知ってほしい。」その想いを胸に卑劣な手を惜しまない。その心はいつも、涙で濡れているのかもしれないし、濡れていないとは思う。
お着替え警察の朝は早い。
出歩く人々の時間帯は千差万別。ゆえにお着替え警察には休む暇などないのである。レンタルをしていない者がいないか、サングラスの下から目を光らせる。
周りの住民の目が、とても痛い。
だがその視線すら気にならないほど・・・気になるけど、お着替え警察は使命に燃えている。恥ずかしがる人を救うために、頭の中では着せ替え成功までの汚い策略を練っているのだ。
「私は着ないからね!恥ずかしい!」
お着替え警察は聞き逃さなかった!ようやく住民の視線から逃れられる感謝を胸に草むらから飛び出す。
まだ若いであろう少女の声の元にいち早くかけつけ、先程まで練っていた策略を実行する。もう一度言うが、お着替え警察自信もこの汚い行為には涙で心を濡らしている、かもしれないのだ。
「な、なによアンタ!」
警察『ピピピピピピピッ!お着替え警察だ!お着替え執行妨害で確保させてもらう!』
目的の前では顔も険しく、口調も荒々しくなるのがお着替え警察だ。相手の少女の「なに言ってんだコイツ・・・」な顔にも気づいてかおらずか、警察の手腕は止まらない。
警察『ごめんねながれちゃん!』
なんということだ。お着替え警察の少ない脳みそでは、散々練った作戦を覚えきれなかったのである。
だが心配はいらない。そんな時のために日々トレーニングを欠かさないお着替え警察は、罪深き少女を無理やり力ずくで捕らえ、お着替えを遂行する。
「アンタねえ!あとで覚えときなさいよ!!」
後に来るであろうお仕置きに恐怖は隠せないが、お着替えの指名のため、市民の笑顔のためならば、お着替え警察は任務を途中で放棄するわけにはいかない。
「なによこの衣装・・・。」
少女はお着替えを終えてからも顔は渋ったままだったが、それも今だけ。
しばらくすればノリノリで楽しむようになる。それこそがお着替えの魅力であり醍醐味なのだ。
どこかで恥じらいの声あらば、必ず駆けつけるお着替えの使者。
次は君の町にも、現れてほしくないよね。