シルデレラ(なにが目的かは知らないけれど、私には私の生活があるもの。)
シルデレラ「あぁ〜、重くて剣なんか振るえないわぁ。」
王子様「さっきからこの一点張りだ・・・。やはり僕の勘違いだったのだろうか?また1から・・・」
幸運にもシルデレラの棒読みな芝居にうまく騙されている王子様。このままいけば騙しきれるはず・・・ですが突如、王子様の背後からモンスターの気配が。
シルデレラ「王子!」
王子「えっ?」
まるで武闘会の再現といったようなシチュエーションに、シルデレラも思わず体が動きます。
シルデレラ「あの憎たらしい魔法使いの効果がまだ残ってるのかしら?体が軽いわ・・・いける!はぁっ!」
王子「やっぱり・・・見間違いじゃなかった。」
シルデレラ(・・・・・・しまったぁ〜〜〜〜っ!!)
モンスターを討伐してすぐに目を見開き喜ぶ王子様と、激しく後悔するシルデレラ。
あの時の美しく輝く剣士が、また王子様の目の前に現れたのです。この好機を逃すまいと、王子様を決意を胸に身を前に乗り出します。
王子「きみ・・・いや、シルデレラ!」
シルデレラ「な、なによ。」
王子「シルデレラ。あなたは僕に戦うことの大切さを教えてくれた。そしてその美しさに心底惚れ込んだんだ!」
シルデレラ「美し・・・惚れ、ええっ!?」
思えばはじめての王子様の清々しいまでの告白に、家族一筋で生きてきて今までそんな経験もなかったシルデレラは動揺を隠せません。
シルデレラ「あ、あなた何言ってるかわかってるの!?」
王子様も熱い想いを言葉にした以上、もう止まることもできません。
王子「わかっているとも。僕と生涯を共にしてはくれないだろうか!あなたのような美しい女性に出会えたのは初めてなんだ!」
シルデレラ「いやいや・・・」
シルデレラ「私みたいなのなんか、これからいくらでもいるわよ。私も王子もまだ若いのだから、焦らず考えるべきだわ。」
王子「焦ってなんか・・・僕は本気なのに。」
シルデレラ(まっすぐな良い子だけど、私なんかきっともったいないわよ。これからきっと更に素敵な女性に出会えるはずだわ。)
シルデレラ「じゃあ、私は・・・」
そう口にして去ろうとした瞬間でした。
シルデレラ「うっ!ううっ・・・!」
王子「シルデレラ!!」
慣れない魔法や剣技の反動で、体の負荷が限界を超えてしまったのです。
シルデレラ「体が・・・痛い、重い・・・!あの魔法使いめ!」
王子「シルデレラ!大丈夫!?」
体を縮めて苦しむシルデレラは、返事すら返すことができませんでした。