雪山を歩いていると、ひとりの少女がゆっくりと歩いていた。
不思議と惹かれるその後ろ姿に、私はついつい歩み寄ってしまう。
「あら。」
「ふふっ・・・。私ね、こういった雪原でよく声をかけられるのよ。でも残念だわ。私に近づいたばかりに。」
少女が手をかざすと、私の体はみるみる体温を下げ、震えながら地面に膝をついてしまう。
「冷たいでしょう?私に近づいた人たちは皆、ただひとときの夢を見ていたかのように倒れていくのよ?」
もはや視界はぼやけ、体の感覚もない。
「さよなら、旅人さん。よき永遠の眠りを。」
この一面の雪に隠れた、哀れな者たちと共に。