ククク・・・。私はじごくのつかい。
私はついに新たな術を会得した。その名は【モシャス】!
一度見た相手そっくりに変身することができるのだ。
なんでもかの有名な邪神さまも、勇者姫に化けて冒険者を騙したと聞く。
これが上手くいけば私も大出世・・・・・おっと、さっそく仲の良さそうな二人組が来たぞ。
まずは片方を遠目にコピーして・・・。
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剛拳「ごめんね、ながれちゃん。せっかくお散歩に付き合ってくれたのに、天気悪くて・・・。」
流剣「別に構わないわよ。それに天気なんか関係ないわよ。」
剛拳「えっ?」
流剣「大好きなごーちゃんと一緒にお散歩してるんだもの。どんな天気だろうと幸せだわ。」
剛拳「・・・・・・。」
流剣「・・・・?どうしたの?」
剛拳「いや、まあ。」
剛拳「誰だお前?」
流剣「え?誰って何言ってるのよ。頭でも打って私の名前忘れちゃった?」
剛拳「いや、そういうのいいから、何かが化けてるんなら姿を現してもらわんと。」
流剣?「・・・・・・。」
剛拳「はよ。」
流剣?「一応聞くけど、なぜ怪しいと思うの?」
剛拳「・・・・・・。」
流剣?「・・・な、なあんだ!ただの気のせいなんじゃないの!ほら、お散歩の続きでも」
剛拳「ぐすんっ・・・ぐすっ。」
流剣?「えっ?ええっ!?なんで泣くのよ!?」
剛拳「い・・・言わんのだ。」
流剣?「言わない?なにを?」
剛拳「確かに・・・ぐすっ・・・・ながれちゃんと私は最高のパートナーだけど・・・・。」
剛拳「ながれちゃんは、大好きとか幸せとか・・・照れて滅多に言わんのだっ!!!」
流剣?「・・・・・。」
剛拳「仮に言ったとしても、強敵相手に共闘して互いの感情が高まった時にポロッとこぼれるくらい・・・。私のだいちゅき頻度に比べて、ながれちゃんのそれは・・・・あまりにも、低いッ!!!!」
流剣「あ、ああ。」
剛拳「だから多分お前は偽物だろうけど、その声で、姿で、滅多に聞けないセリフが聞けて・・・・!」
剛拳「私は幸せでございましたっ!ぐすんっ・・・ぐすんっ!」
じごくのつかい「なんか、ごめんね?」