何ヶ月前だっただろうか。バージョン6をクリアした当時の自分は、歩んできた天界の美しさを振り返っていた。
だがどうだ、今目の前には・・・
千光「ほらほら。これですよね。プレイヤーさんの最近の流行り、帽子をおさえるしぐさ!似合います!?」
そんな天界に見劣りしない少女が目の前にいるのだ。
俺「お、おう。よく知ってるなあ。」
千光「私の中には当然、赤髪と水色髪の意識があるわけですからね。様々な情報が流れてくるんです!」
俺「へぇー。」
千光「それにしても、ここが天界ですかあ。」
俺「そう。少し前までお前の原型シルファーが、ここを旅してたんだよ。」
千光「私も少しならわかります。あれがテンセイキョウですね?」
俺「うん。行きたい?」
千光「ん〜・・・実はそれ以外で気になる噂がありまして。」
俺「なに?」
千光「くわがたむしです!」
俺「はい?」
千光「私知ってますよ!この密林のああいう木のどれか、くわかたむしが停まっている木があるんです!」
俺「それが気になるの?」
千光「はい!捕まえてみたいです!」
俺「なんかその衣装に似つかわしくない発言だなあ。」
千光「どんな衣装だろうと、心は女の子です!」
俺「若干男の子寄りの発言なんだわ!まったくそういうとこは原型そっくりだよなあ。」
千光「で?どこにあるんです?くわかたむしの木。」
俺「ん、あー。クエストで行った記憶があるんだけど、どこだったかな?」
千光「まあいいです。このためにお借りした翼を楽しみつつ、片っ端から探しにいきましょう!」
俺「・・・・・・。」
千光「プレイヤーさん?」
俺「あ、うん。探そう。」
俺(まさか1日に2度もこの戦闘以外ポンコツな千光ちゃんに見惚れるとは。とはいえクワガタはどこだったかな・・・。)
俺「千光ちゃん!今はいつもと違って弱い職で来てるから、戦闘は避けてよね?」
千光「おかしなプレイヤーさんです。ただの昆虫採集に戦闘が必要ありましょうか?」
俺「一応撮影会なんだけど・・・。」
千光「うおおおおーーーっ!!!見つけましたよくわがたむし!綺麗な色してますね!」
俺(記憶力には自信があったのに、ついつい検索してしまった。情けねえ。)
千光「私昆虫って見たことないんですよ!くわがたむしさん、はじめましてです!」
俺(まあ確かに千光ちゃんも出番がよくあるわけでもないし、珍しいもの見れて喜んでるみたいだからいいか。)
千光「よおし・・・ここでまた、どるぼぉどの翼でジャンプです!」
俺「あっ!あんまり勢いつけて飛ぶと風が強いから!」
千光「えっ?翼の操作はばっちりですよ?」
俺「ちがっ・・・」
その時、密林特有の強い突風が吹き出した。