いちばんの友人のひとりがアストルティアを一時去ることになった。
業務多忙でリアルを優先せざるを得なくなったそうだ。
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それはサービス開始年の9月のはじめ。
彼と出会ったのは、キラキラ大風車塔のボス退治でパーティを組んだときだった。野良だったか、フレンドのつてなのかは覚えていない。
僕はストーリーを進めておらず、他のメンバーを待たせて迷惑をかけていた。でも彼は気を利かせて僕にアドバイスしつつ、軽妙なトークとしぐさ芸でみんなを退屈させないように楽しませていた。
そんなこんなでボスを倒した。パーティーメンバーはみなフレンドになり、彼との付き合いが始まった。
その後も彼とはたびたびパーティーを組んだ。ストーリー、クエスト、レベル上げ。妖精の国では、リアルでもゲームでもイモムシが苦手という意外な一面を見せた。ガタイの大きな打撃系オーガの姿から想像できず、思わず吹き出してしまった(失礼)。
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僕が何が楽しいわけでもなくDQXを惰性で続けていたころ、彼が災厄の王に誘ってくれた。挑戦のたび何度でも、何度でも。へたれた装備でスキル配分ももいい加減な僕はほとんど役に立たなかったが、そのうち逃げ方を覚えて死なないようにはなった。
そして撃破。彼が誘ってくれなければもっと後か、今も手つかずかもしれない。
彼との交流を通じて新しいフレンドと巡り会うことができた。そして僕のドラクエXライフは豊かなものになった。このことはとても感謝している。
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ある晩、彼がアストルティアを去ることを知った。急いで住宅村に駆けつけた。フレンドも来ていた。彼にはフレチャ・チムチャが殺到して捌ききれないようだった。彼の人柄がうかがえる。
課金の最終日を区切にするつもりが、0時を過ぎてもいきなり消えることはなく、しばらく名残を惜しんでいた。
リアルはもとより、仮にゲームに飽きたとしても本人の意思や事情が優先するのは仕方がない。それはわかっている。でも寂しく思う。それだけでは無く心にぽっかり穴があいてしまった。
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彼がいつ戻って来るのかわからない。でもきっと戻ってくる。その時はみんなで遅れを取り戻し、新たな物語を一緒に冒険しよう。
待っているよ。
僕がブランクから戻ったときに迎えてくれたように。