キィンベルの夜の公園にて
シャンテ「いつの間にか、窓のひさしに紙飛行機が引っかかってて、それをとったら文章が書いてあったわ。『今夜の12時にキインベルの公園でお待ちしてます、ひとりでお越しください。シャンテさんへ』とあったけど、ああ、もうじき12時だわ」すると、シャンテの目の前にしげみからいきなりクオードが現れた。
クオード「あ、あの、その、はじめまして。ぼくは軍団長のクオードといいます」
シャンテはいきなり人が現れたのでおどろいた。
でも、すぐにこやかにほほ笑んだ。
「こんばんは、あたしに何か御用でしょうか?」
クオード「い、いや、その、酒場にきみが歌を歌いにいくために町を歩いているのをチラと見かけて・・・・その、気になってたんだ」
シャンテ「気になってたって?あたしの歌がききたいんですか?」
シャンテはにっこりうれしそうに笑った。
クオード「いや、その、今は歌がききたいわけじゃなく、きみにこのプレゼントをあげたくて。それで呼び出したんだ」
クオードは真っ赤になってしどろもどろだ。高価な包み紙とリボンだがに下手糞につつまれて下手糞にリボンがかけられた不器用なプレゼントの包みを真っ赤になった顔をシェンテからそむけながら
クオードはシャンテの手にむりやり包みを渡した。
(アクセサリー屋に行く勇気が最後までなかった。直前に姉さんのアクセサリー入れからチョーカーを1個ちょろまかして持ってきてしまった。姉さんゴメン)
シャンテはクオードの前で包みを開けた。そこには可愛いチョーカが入っていた。
シャンテ「まあ、これをあたしに?」
クオード「う、うん。そっその、付けてみてくれないか?」
シャンテ「ありがとう。すぐつけてみます」
シャンテは自分の首のチョーカーをはずすと、クオードからもらったチョーカーを付けようとした。
クオードは照れくさそうに振り返るとシャンテを見た。
そのとき、クオードは見てはならないものを見てしまった。
シャンテの喉に魔法生物のしるしである人造ルビーが輝いているのを。
クオード「うっ!」
クオードはシャンテの姉が高名な錬金術師であることは聞いて知っていた。
クオードは自分の初恋が、魂を持たない相手だったことに気づいたのだった。
クオード「・・・・・・・」
シャンテ「どう、似合うかしら」
クオード「・・・・うん、良く似合うよ」
シャンテ「ありがとう。そろそろ家に帰らないと姉さんに、こっそり家を抜け出したのがばれてしまうので、帰りますね。素敵なプレゼントありがとうございました」シャンテはうれしそうに一礼すると、スキップしながらキィンベルの通りを楽しそうに駆けて行ってしまった。
クオードは、無言で星空を見上げた。
彼は自分の感情を心の中に押し込めた。