「駒鳥のお葬式」
誰が駒鳥 殺したの
それは私 とスズメが言った
私の弓で 私の矢羽で
私が殺した 駒鳥を
誰が見つけた 死んだのを見つけた
それは私 とハエが言った
私の眼で 小さな眼で
私が見つけた 死骸を見つけた
誰が取ったか その血を取ったか
それは私 と魚が言った
私の皿に 小さな皿に
私が取った その血を取った
誰が作るか 死装束を作るか
それは私 と甲虫が言った
私の糸で 私の針で
私が作ろう 死装束を作ろう
誰が掘るの 墓穴を掘るの
それは私 とフクロウが言った
私のシャベルで 小さなシャベルで
私が掘ろう お墓の穴を
誰がなるか 牧師になるか
それは私 とミヤマガラスが言った
私の聖書で 小さな聖書で
私がなろう 牧師になろう
誰がなるか 付き人になるか
それは私 とヒバリが言った
暗くなって しまわぬならば
私がなろう 付き人になろう
誰が運ぶか 松明(たいまつ)を運ぶか
それは私 とヒワが言った
すぐに戻って 取り出して
私が運ぼう 松明を運ぼう
誰が立つか 喪主に立つか
それは私 とハトが言った
愛するひとを 悼んでいる
私が立とうよ 喪主に立とうよ
誰が担ぐか 棺を担ぐか
それは私 とトビが言った
夜を徹してで ないならば
私が担ごう 棺を担ごう
誰が運ぶか 棺覆いを運ぶか
それは私 とミソサザイが言った
私と妻の 夫婦二人で
私が運ぼう 棺覆いを運ぼう
誰が歌うか 賛美歌を歌うか
それは私 とツグミが言った
藪の木々の 上にとまって
私が歌おう 賛美歌を歌おう
誰が鳴らすか 鐘を鳴らすか
それは私 と雄牛[9]が言った
私は引ける 力がござる
私が鳴らそう 鐘を鳴らそう
空の上から 全ての小鳥が
ためいきついたり すすり泣いたり
みんなが聞いた 鳴り出す鐘を
かわいそうな駒鳥の お葬式の鐘を