「まず、飴色玉ねぎを作るぞ」
「なに?出汁で玉ねぎを使っただと? だからなんだ?また使うんだ」
「今回はみじん切りだ ただしあまり細かくしなくていいぞ どうせ小さくなるからな」
「次は、オイルのテンパリングだ
弱火でサラダ油を熱してホールスパイスを入れてオイルに香りを移すんだ 今回はシナモンとクローブを使うぞ」
「気を付けろ、やり過ぎると焦げるぞ オイルに香りが付いたらフライパンに玉ねぎのみじん切りを入れて中火にかけろ ここでも塩を振って水分を出してメイラード反応を得るんだ」
「そして、フライパンに付いた旨味と焦げ付きを水で浮かせて混ぜろ こうすると玉ねぎに色が移るぞ こうやって飴色にするんだ」
「玉ねぎが飴色のペースト状になったら、火を止めて、すりおろしたニンニクと生姜を混ぜろ ニンニクもまた使うんだ」
「更に、ここにカレー粉を混ぜろ スパイスも使うぞ 今回はカルダモン、コリアンダー、ターメリック、ガラムマサラを使うぞ 勿論、他にも好きなスパイスを使っていいぞ ただし、最初に入れ過ぎるなよ 辛くなり過ぎても知らんぞ!」
「さて、飴色玉ねぎにスパイスを加えたな これをカレーペーストと言う ここに水を加えて伸ばしていくぞ出汁はまだ使わん」
「ここまでに二つの材料が出来たぞ 野菜のペーストとカレーのペーストだ」
「そして次に、ブラウンルーを作るぞ 同量の小麦粉とバターを用意しろ」
「まず、清潔な鍋にバターを入れて泡立つまで熱しろ そこに小麦粉をふるいながら加えろ」
「混ぜるとモッタリとするはずだ
更に混ぜると、だんだんサラサラになってくるはずだ」
「これで粉に火が入ったが、これで終わりではないぞ クリーム色のルーがキャメル色になり、チョコレート色になるまで混ぜろ」
「一度色が付くと早いぞ!慣れないうちは火からこまめに離すといいぞ」
「香りはこんがり焼けたトーストようになるはずだ 焦げ臭かったら失敗だぞ」

「ルーに色が付いたら、色止めの為に濡れ布巾などで鍋を急冷しろ」
「これで、ブラウンルーの完成だ」
「今回はカレーに使うが、デミグラスソースもブラウンルーを使って作れるぞ 覚えとけ」
「・・・少々話が逸れたな ここで、出汁が登場するぞ!冷蔵庫から出したらプルンプルンに固まっているはずだ 喜べ!絶品コラーゲンだ!」
「固まっている出汁を別の鍋に入れて火にかけろ ルーと合わせるぞ 温度差で熱々のルーが、はねるかもしれん 気を付けろ!」
「この熱々のルーに温めた出汁を少しづつ加えると、最初はサラサラだったルーがモッタリしてくるぞ こうして、少しづつ出汁を加えていくと、次第にとろみのあるソースになっていくぞ」
「とはいえ、この段階では何の味もしないがな」
「いいか?このソースに野菜のペーストとカレーのペーストを加えるんだ!」
「後は赤ワインと果物を使って酸味と甘みを足す
間違っても砂糖なんて使うなよ?」
「因みにオレは隠し味として、カカオパウダーを使う これは風味と苦味が欲しいからだ」
「そして、塩だけで味を決める うま味調味料なんぞ一切必要ないぞ! それを否定する訳ではないがな」
「これで旨味、辛味、甘味、苦味、酸味が出揃ったな!後はカットした肉を加えてしばし煮込めばOKだ!」

「よし、最後に一番大切な事を教えてやろう こうして完成したカレーは急冷してラップして冷蔵庫で一晩休ませろ 市販のルーではないから、味が馴染むまで時間がかかるんだ」
「これで完成だ 後は翌日を楽しみに待つがいい」
「言っておくが、ひっくり返るほど旨いカレーだぞ!まぁ全ての工程で旨味を最大限に引き出しているのだから当たり前だがな!」
「さぁ存分に堪能するがいい!」
「以上になるが・・・どうだ?オレはただ強いだけじゃないんだ」
「最近、こういう気持ちが大切だと気付いた」
「お前達も大切な人がいるだろう どんな形でもいい 気持ちを伝えてやれ」
「オレはもう出来ないんだ」
「・・・な?ありがたかっただろ?」
「・・・またな」