何かが上手くいっていると、頭の中で自然にBGMが再生されていることがある。しかしながら、生きるか死ぬかの戦闘中に、その余裕があるわけもなかった。
ザシュ。ザシュ。
コンフィグでBGMの音量を最小にしてみると、攻撃の音だけが響く。無感情の世界。あるのは生きるか、死ぬか、ザオ系で生き返らされて再び死ぬか。それが、どちらかが全滅するまでつづく。
ザシュ。ザシュ。
たまに、某学園他人格召喚RPGの現代的な音楽を他アプリでかけてみたり、究極幻想のBGMをかけてみたりするが、何が変わるわけでもなかった。行われていることは同じで、それは、生きるか、死ぬか、ザオラルの後に再び死ぬか、でしかなかった。
流れ作業のようにザコを倒し、チムクエを遂行していく。音楽がないぶん高揚感もあり得ないが、一人チムクエには逆にありがたい。興奮は、後の疲れを生む。機械だ。私はウルベア魔神兵のように戦いつづける機械だ。
わたしはチムクエを報告した。また明日の午前6時になれば、新たなチムクエが配給される。わたしは、それをありがたく頂戴する。やることがないのが一番辛い。
気がつくと、アイテム袋が一杯になっていた。
どこかは空っぽになっていた。
マジに受けとらないでね。