かじかんだ指先 小ビンに残った微かな熱
カバンの底 渡せないままの包みは
だいじなものにもなれぬまま
冬がくちていく匂いがした
「また今度」なんて言い訳を
石に刻んで 空に投げた
ねえ、雪が解けたら
この重さもおはらいされるの?
「好きです、好きです」
声にするたび 凍てつく波動に呑まれていく
白い息が 君に届く距離で
指紋がこびりついた 紅色の恋
甘くて苦い 守備力0のバレンタイン
帰り道 王都の灯(ともしび)が揺れて
君の影だけが「かげのきし」より遠く伸びる
軒下で せっかちに跳ねる雫
心臓の音と 旅の調べが重なった
「おつかれさま」が 解けない呪いで
追いかけたいのに 足が地面に張り付く
ねえ、このままじゃ
私は君のその他になってしまう
「待ってて、待ってて」
心の中で 祈りが枯れるまで叫ぶ
昨日までの 臆病な私は
泥混じりの水にみやぶられたみたいで
冬の終わりの 物語を閉じられない夜
雪が解けたら もう隠せない
剥き出しの土に 芽吹くきらきら
本当の私をおうえんしてほしい
「大好き、大好き」
やっと言えたよ 青い光に消える背中に
振り返った その瞳の中に
驚きが ゆっくりと光の魔法に溶けた
今、雪消月の 空が泣き止んだ
【あとがき】
バレンタインイベントの時期に合わせて、季節の変わり目、
冬が朽ちていく匂いを感じて書き留めた言葉たちです。
言えなかった「大好き」を言葉にできた瞬間の、
あの魔法が解けるような、あるいはかかるような感覚。
小説のつもりで書いたのに、気づけば歌詞になっていました。
ちなみに何がとは言いませんが4個貰いました(・∀・)
X ID→@redkiller99109 又は レドキラ