新体制の能力と誠実さです。
新体制は、アクティブプレイヤー数減少に歯止めをかけるべく、目先のニンジン(大衆迎合策による人気の回復)と引き換えに、より困難なバランス調整という枷を自らにはめたように見えます。
その調整能力と、立ち位置(プレイヤーに対する誠実さ)が最初に試されるのは、12月に実装されるコインボスにたいして、白箱(と防衛軍)産の装備が通用するかどうか、通用する装備は効率的に入手出来ていたのかを確認することで明らかになります。
概算値を先に書いておくと次の通りです。
防衛軍で装備を平均17回もらう毎に実用水準の装備が得られない場合、防衛軍は罠コンテンツである。
計算根拠は以下のよう通りです。
1装備の平均価格=275万ゴールド
キラキラマラソンの所要時間=15分/回
キラキラマラソンの利益=10万/回
roundup(275/10*0.25,0)=7
∴実用装備の時間価値は7時間(=420分)
防衛軍の1周回所要時間(待機、撤収時間込み)=10分
獲得素材数=4.5個
必要素材数=11個
rounddown(11/4.5*10,0)=24
∴ランダム装備の時間価値は24分
rounddown(420/24,0)=17
よって、ランダム装備を平均17回入手する毎に実用水準の装備が手に入らない場合、ランダム装備による装備調達は、旧来のゴールドによる装備調達より不効率である。
実際には、キラキラマラソンより効率の良い日課などの金策手段があること、計算式は白箱側に有利となるよう端数を調整していることを加味すれば、デッドラインは17回より小さい値となることが予想されます。
実用水準であるか否かは、12月に実装されるコインボスの、装備に対する要求がどの程度シビアであるかによって変動します。
従来のコインボスのように、耐性への依存度が大きい場合、ランダム装備による調達の難易度は比例して上昇します。
逆に、スライムジェネラルのような力押しの通用するコインボスであれば、難易度は大きく低下します。
結局のところ、効率の良しあしというのは、プレイスタイルの嗜好ですから、それ自体は善でも悪でもありません。
しかし、金策に倦んだプレイヤーへの緩和策として宣伝される仕組みが、実はより不効率であったなら、新体制に誠実さを求めるのは無い物のねだりと言っていいでしょう。
では、白箱によるランダム装備入手が、金策より有利ならば、問題は解決するのでしょうか。
その場合、より深刻な問題が発生します。
これまでゲームの根幹をなしてきた経済構造を否定することになり、職人に代表される生産物流に力を入れてきたプレイヤーは、蓄積資産の著しい毀損に直面します。それが不条理でないと納得させることができなければプレイヤーはゲームから離れてしまいます。
更に、レアハント(白箱ハント)中心のプレイスタイルは、競合タイトルとの差別化が困難で、新体制はより厳しいプレイヤーの奪い合いを強いられることになります。
どちらに傾きすぎても破滅。
新体制は、アクティブプレイヤー数減少に歯止めをかけるべく、目先のニンジン(大衆迎合策による人気の回復)と引き換えに、より困難なバランス調整という枷を自らにはめてしまいました。
与えられた条件の範囲で最善(と、思われる)策を選択するよりない。
それが現実です。
しかし、選択はやがて必ず自らに跳ね返ってきます。
こうした因果を読み解く才覚、結果を御せる能力の有無を最初に問われるのが、12月に実装されるコインボスなのです。
こうして整理すると、ゲームって現実の縮図ですね。