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燦滅の断罪者

ロトシオン

[ロトシオン]

キャラID
: DE243-658
種 族
: エルフ
性 別
: 男
職 業
: まもの使い
レベル
: 138

ライブカメラ画像

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ロトシオンの冒険日誌

2025-11-23 20:57:19.0 テーマ:その他

潮声がまだ、続いておる

潮騒というものは、不思議なものじゃな。
わしがリアルの旅へ出ておる間も、どこか耳の奥で波の音が続いていた。
宿の窓を開ければ、そこは山の景色じゃというのに……
それでも、風の中にほんの少し潮の香りが混ざっておった気がする。

旅の帰り道、ふとポケットを探ったら、あの“青い貝殻”が出てきた。
海に落ちた日に、手の中に残っていたものじゃ。
持ち帰った覚えはない。
けれど、確かにそこにあった。

──帰る時が来たんだね。

あの日、海の底で聞いた声が脳裏をかすめる。

わしは首を振った。
疲れておるだけじゃろう、と。

そして今日、久方ぶりにアストルティアへ戻った。
ログインした瞬間、画面の向こうの空気が澄んでおる気がした。
いつものゴブル砂漠西。
いつもの砂浜。
なのに、何かがほんの少しだけ違う。

潮のにおいが、深い。

「ロトさん、旅行おかえり!」
「海、また行くの?」
「とと丸リベンジだね!」

チムメンたちが声をかけてくれた。
その温かさに、胸が少し締めつけられる。

わしは笑って返した。

「おう、しばらく海とは縁が続きそうじゃ。」

竿を構え、糸を垂らす。
浮きが静かに揺れ、波が細かく寄せては返す。
見慣れた景色のはずなのに、目が離せなかった。

光が一筋、海面に落ちて伸びていく。
それを眺めておると、胸の奥がじんわり温かくなる。
懐かしさに似ておるが、思い出せる記憶はない。

「ロトさん、その髪……色、変わった?」
「なんか雰囲気違うね?」

そう言われて、わしは少し驚いた。
姿はエルフのままじゃ。
角も耳も、見慣れたまま。
だが、光の当たり方で色が淡く見える瞬間があった。

「旅の疲れじゃろう。たぶん。」

そう答えながら、胸の奥に小さな波紋が広がった。

風が吹き、髪が揺れ、
その一瞬だけ、海の底で漂ったあの感覚が蘇る。

わしは深呼吸した。
潮の匂いが肺に入る気がした。
錯覚かもしれん。
だが、心地よい錯覚じゃ。

その夜、家に戻ってランプを灯し、鏡を見た。
髪が光を受けて淡く揺れている。
水に濡れているわけでもないのに。

貝殻を手に持つと、かすかに温かい。
耳に当てると、波音がした気がする。
いや、気がするだけじゃ。
まだ、何も変わっておらん。

わしはベッドに横たわり、目を閉じた。
するとまぶたの裏に、青い光が揺らめいた。

海。
光。
泡。
影。

──まだじゃ。
──今ではない。

確かに、そう聞こえた気がした。

目を開けると、部屋は静かで温かい灯りに包まれていた。
夢だったのかもしれん。
だが、胸の内側に小さく波が残っておった。

わしは笑った。

「潮騒というものは、人を惑わせるものじゃな。」

まだ、転生などせん。
姿も変えん。
ただ、少しだけ波が寄せてきておるだけじゃ。

明日も海へ行こう。
浮きが沈むかどうかは分からん。
とと丸が釣れるかも分からん。
だが、この揺らぎがどこへ向かうのか……
それを確かめたくなっておる。

潮のにおいがする。
静かで、深くて、ほんの少しだけ近い。

──大魔王ロトシオン、まだ岸に立つ。
波は、少しずつ足元へ寄せてきておる。
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