授業が終わり教室から殆どの生徒がいなくなった放課後、リーティアは昼休みに訪れた購買での会話を思い出す。
「あの、一つ聞いてもよろしいですか?」
「ん?あたしかい?何だか真剣な顔だねぇ‥‥まあ、知ってることなら教えられるよ」
「数年前の事件について何か知っていませんか?噂程度でもいいのです」
「数年前の事件ねぇ‥‥あたしも詳しく知ってる訳じゃないけど、前に購買に来た職員がそんな感じの事を話してた気がするよ。たしか第二校舎と旧校舎のどっちかにその資料があるとかなんとか」
「本当ですか!ありがとうございます!」
「あ、ちょっと!お釣り忘れてるよ~」
リーティアは取り敢えず購買での噂を確かめる為に第二校舎へとやってきた。この第二校舎は様々な部活動の部室棟となっており、部活に勤しむ生徒達をちらほらと見かける。
(さて、第二校舎と旧校舎ですか‥‥‥全て探すのは骨が折れますが、手がかりが少ない以上しかたありませんね)
こうして一つ一つの教室の中を軽く覗きながら、それらしい部屋を探す。すると何やら賑やかな音が聞こえ、その音の元凶である教室の中を恐る恐る覗いた。
「こ、これは‥‥‥‥!」
その中には信じられない光景が広がっていた。何と教室の中に、カジノなどで見かける大きなルーレット台が置かれ、その反対側の教室にはポーカー台やルーレット台が置かれていたのである。
「こ、これは‥‥‥いったい」
「あれ?もしかして新入生?」
「は、はい‥‥‥ですが、これは?」
「ここは遊戯室って言って、見ての通りの部屋なんだけど、どう?折角だしやってく?」
「えっとなぜ学校にこんな物が‥‥‥」
「まあ、いくら学校とはいえ、勉強勉強じゃあ息がつまるじゃない?だから適度な娯楽が必要なのよ」
(いや、適度ってレベルを超えている気が‥‥‥それに娯楽ならもっと他にあったのでは‥‥‥‥)
ルーレット台を見つめて引き釣った表情を浮かべているリーティアに女生徒は数字を選ぶように促してくる。
「さあさあ、取り敢えず数字を選んで!」
「で、では‥‥‥ノワールの16で」
「じゃあ、あたしはルージュの4ね」
そう言って女生徒がルーレットを回すと、中にある玉が円盤の中を踊り始める。
「「‥‥‥‥‥‥‥‥」」
二人は自然と無言になり、その目はルーレットの円盤へと向けられている。
そしてルーレットの回る速度が落ち始め、ついにその動きが止まり始める。
「「‥‥‥‥‥ゴクリ」」
そして完全に動きを止めた玉が入った場所は黒く塗られ、16と書かれた枠だった。
「やったーーーーーーー!!」
自分の予想が大当たりした事で、リーティアは思わず喜びの声を上げる。すると女生徒は微笑みながら、リーティアに一つのパイを手渡した。
「おめでとう!大当たりした君に景品としてリーフパイをあげるよ!」
「ありがとうございます!」
そうしてリーティアがリーフパイを受け取った瞬間、完全下校時間を告げる鐘が鳴り響いた。
「あ、もうこんな時間」
「あれ?私はなにをしようとしていたのでしょう‥‥‥」
こうして、また一日が終わるのだった。
一応続きになります。お暇潰しにでも読んでいただければと思います