「月に行くことにしました、一流のアーティストと共に」
これは月に夢を見た1人の男と天才(変態)アーティストたちの
ひとときの茶番劇である。
まず誤算がありました。
月のエイリアンが思ってたよりクソ強いんです。
イベント会場に来た瞬間に、まず速攻でエイリアンに殺されるのが参加の登竜門みたいになってました。
僕たちはこんな危険地帯に夢を見ていたというのか!?
後悔先に立たず
帰還用の宇宙船ロケットはすでに宇宙の塵となりました。
「どうしよう?」
「いや、どうしようもないんじゃないかな」
もはや僕たちに逃げ場はない
僕たちはもう始めてしまった。
「みんな落ち着け必ず助けが来る!」
「社長!もう食料がありません!」
「死んだ奴から奪え!」
僕、いつもこういうイベントやりたいなあと告知書いてる時に、頭の中でイベントの絵を浮かべながら楽しんでるんですけど
今回は思ってた絵と違いましたね。想像以上に地獄絵図でした。
こんな初っ端から死亡ーおいのりー蘇生を無限ループするイベントになるとは思わなかったぞw
「わーい!社長!お祈りしてたらチアガールの称号取れたよ!」
【チアガール】
称号の1つ。女性キャラクター専用。
他のプレイヤーを【おうえん】することで100回以上テンションを上げると獲得出来る。
うお!今回のイベントこの称号取る絶好の機会じゃん!
このために企画したことにしようか。
あと気づいたことは、剛力彩芽のドレアですって宣言する人はもれなくグラサンつけてました。
セレブ感に笑うw
みんな!せっかく一流のアーティストが揃ってるんだ!
死ぬ前に伝説作るぞ!
「僕は昔はバンドマンだったんだ!人類初の月面セッション決めるぞ!」
「マジすか社長!?」
演奏中の背後から放たれるコスモアイのレーザービーム
「しゃ・・・社長!も・・・もう持ち堪えられそうにありません!!」
チュイイイイイン!!(レーザービームの音)
「うぎゃああああ!!!」
「うおおおお!!月世界のVFX(特殊効果)凄えええ!!こういう視覚効果でライブしてみたかったんだよ!!」
「社長はご乱心のようだ」
「あ、酸素ボンベ切れた」
「もう終わりだああああああ!!!」
ふう・・・エレキ(電子音楽)の力は十分に満喫できた。
振り返ればそこには死屍累々の月旅行参加者たち。
残されたものはわずかだ。
「・・・さあ、みんな最期の時だ。演奏したい曲はありますか?」
残り少ない酸素を何に使う?
ただ何もせず息を殺してわずかに伸びた余命に何の意味があるというのか。
そうだ、僕たちは死ぬ瞬間までアーティストなんだ。
「実はわたし月に来たら演奏したい曲があったんです。」
「あ、実はわたしも。本当はピアノソナタなんだけどね」
「それってもしかして・・・」
みんなの心が1つになる。
最初で最後の月面オーケストラ。
曲目
「月光」
完!(なんでこういうオチになったか自分でもよくわかりません)