好きなモンスターというと少し違うかもしれないけど、すごく気になっているモンスターがいるんだ。
まずはこの写真を見て。
このモンスターを知ってる?
うん。その通り。オークだ。
長いヤリをかまえたイノシシのモンスター。
僕は時々思うんだ。
僕と彼らはー体何が違うんだろう、って。
彼らはモンスターで、僕はモンスターじゃない。
僕と彼らを分けるのはいったい何なんだろう? って。
二本足で立って歩き回って、毛むくじゃらなのは一緒だ。
彼らは服を着て、靴を履いて、槍まで器用に使いこなす。
確かにいつもおんなじ服、おんなじ靴で、お洒落さの欠片もない。
でも、一張羅は特に汚れている様子もないし、こまめに洗濯してるんだろうと思う。
そして、何より裸でうろついているのを見たことがない。
僕らプクリポの中には裸で街中を走り回るのもいることを考えたら、彼らの方が余程紳士だ。
実は僕も時々裸で走り回ることがある。
みんなもないかな?
たとえばさ、素材屋で装備を全部結晶にしちゃったとするよ?
そしたら、当然裸になるでしょ?
わざわざ服を着るのが面倒でそのままバザー目指して一直線に走っていっちゃうことってない?
そしてバザーに行って結晶にするための次の装備を買おうとする。
でも、そこで初めてお金がないことに気がつく。
さらに面倒くさいなぁ、と思いながら預かり所を目指す。
裸で走っているとなんだか気持ちがよくなってくる。
そのまま、預かり所の前を通り過ぎる。
段々と自分がおさえきれなくなってきて、街の外に飛び出して……
興奮のあまりにおたけびをあげるんだ。
みんなもないかな?
話を戻すね。
僕と彼らの違いについて、細かい違いをあげていくことはできる。
でも一番の違いは神さまの加護を受けているかどうかだと思うんだ。
大切なのは、ここでいう神さまは「僕らの神さま」だってこと。
彼らには彼らの神さまにあたる別の存在はあると思うんだ。
そう考えると、僕と彼らの違いなんてほんのわずかなんじゃないかと思えてくる。
彼らのさらにすごいところは、階級があるということ。
これは社会的生活を送っていることに他ならないよね。
最低階級は普通のオーク。
それからそのオークが年をとって金色の毛に生えかわって全身金色になったら、紫色の服が贈られてゴールドオークになるんだ。
そして最高位は、オークを手下に従えるオークキングと呼ばれる存在。
ベホイミやザオラルを使うことができるんだよ。
回復呪文まで使うなんて、さすが上に立つだけはあるね。
同属を気遣うだけの強さと優しさがないと上には立てない、ってことだよね。
その彼らの社会性は、知れば知るほど興味がわいてくるところでもある。
プクリポには今のところそんな階級はない。
だけど、僕はいつかプクリポキングと呼ばれるような存在になりたいな、って思ってるんだ。