神僧侶:下がりなさい、神魔戦!!
彼女の眼前で。
バカマスと神僧侶を護るようにして両手を広げる神魔戦。
その先には巨大な両手剣を片手で軽々と扱うバトルマスター。
神魔戦:うるせえ、此処で敵に背を向けたら...死ぬよりも恥だ。いいかバカマス、そいつを絶対に護れよ...何があってもだ。
最後に少し振り返った神魔戦と、虚ろな瞳をするバカマスの視線がかち合った。
バカマス:神魔戦...神魔戦......!!
自身も傷だらけでありながら飛び出したバカマス。
彼女はその近いようで遠い背に手を伸ばすも、触れる寸前で神魔戦は前のめりに倒れた。
バトマス:前から斬られたのに後ろではなく前に倒れるとは。死して尚、その戦う意志は死んでいない。そういう事か。まあ、弱い事に変わりはねえがな。
倒れる神魔戦を足蹴にし嘲笑うバトマスは、言い知れぬ寒気を感じ取る。
まるで、背中に舌が這ったような形容し難い寒気を。
バカマス:逃げて...神僧侶......
神僧侶:やめなさいバカマス!! 今回ばかりは適う相手じゃない!! 相手は理論値バトマスなのよ!!
バカマス:逃げて...お願いだから......
神僧侶:嫌よ、貴方を見殺しにするつもりは無いわ。いいから一緒に逃げるのよ!!
神僧侶は自身に背を向けて立つバカマスの腕を掴んだ。
だけれどその手はすぐに手放された。
神僧侶:バカマス...貴方...
理由は簡単、振り返ったバカマスの頬を伝う涙を目にしたから。
バカマス:必ず護るから...約束したんだ......だから......
心を強く締め付けられる感覚に陥った神僧侶。
この状況で一番辛いのは彼女だった。
勝てる相手では無い敵を前にして、仲間を一人置いて逃げるのだから。
ましてや聖職者である神僧侶にとって、これ程辛い事は無かった。
だからこそバカマスは紡ぐ。
『ごめんね』
と。
バトマス:ボロボロの身体じゃ1分ももたねえぞ。
バトマスの天下無双!!
バカマスは武器で攻撃を弾き返した!!
バカマスは武器で攻撃を弾き返した!!
バカマスは武器で攻撃を弾き返した!!
バカマスは武器で攻撃を弾き返した!!
バカマスは武器で攻撃を弾き返した!!
バカマスは武器で攻撃を弾き返した!!
バカマス:力じゃ無いんだよ。素早さ54の靴、会心5.1の腕、攻撃錬金27の刀...どれも違う。
バトマス:俺の理論値装備に嫉妬でもしたか、雑魚が!!
バトマスの全身全霊斬り!!
バカマスは武器で攻撃を弾き返した!!
バカマス:背負っているモノの重さが違うの。個々が強くたって意味なんて無い、個々が頑張る事に意味が有る。空を流れる雲は空無しじゃ何も出来ない、空は流れる雲が無ければ自身を美しく魅せられない。物事の事象とはそういうもの。
バカマス:べらべら五月蝿え奴だ。此処では強い奴が勝つ。それだけだろうが!!
バトマスの攻撃!!
バカマスは武器で攻撃を弾き返した!!
バカマス:そうね、なら貴方は二つ後悔しなさい。私に剣術で勝負を挑んだ事と、貴方と私達との圧倒的なまでの経験の差と。
バトマス:なに血迷った事言ってやがる!! 少し凌いだくらいで図に乗るなよバカマスが!!
バトマスのフリーズブレード!!
Miss!! バカマスにダメージを与えられない!!
バカマス:愚かね、フリーズブレードはこう使うの。
バカマスのフリーズブレード!!
バトマスに167のダメージ!!
バトマスは凍り付いた!!
数倍以上の凍結エリアを持つバカマスのフリーズブレードは、バトマスを凍り付かせるのには十分過ぎる威力だった。
バカマス:さようなら...信念を持たない弱きバトマス。
バトマス:待て...待ってくれ...!!
バカマスは刀を振り上げる。
だが、その動作が成される事は無かった。
前のめりに倒れるバカマス。
彼女が地と衝突する前に、戻って来た神僧侶が受け止めたのだ。
バカマス:俺の...負けだ......
意志を削がれたバカマスはその場でへたり込んだ。
神僧侶:よくやったわ、バカマス...貴方の...勝ちよ...
自身の腕の中で満足げな顔で意識を失うバカマス。
そんな彼女の頬に触れながら、優しげな笑みで涙を零す神僧侶。
その涙は止まる事を知らぬかの様に流れ続ける。
そんな中、バカマスを伝って地に堕ちた涙の一粒に、広大な空の景色が映る。
その綺麗な空には幾つもの雲が流れており、それは互いが互いを支えている、そんな光景を比喩する様で。
勝者.バカマスチーム