やあ、貴公か、こんな所で出会うなんて奇遇だな。

…む?その顔、まさか私の事を忘れたとでも言うのか?…はあ。貴公のその忘れっぽさには頭が下がるな。私はミラ。旅の魔剣士だ。そうさな、もし暇なら、一つ私の話でも聞いて行かないか?
ちょっとした事情で魔界とやらに放り込まれた私は様々な国を巡った。血生臭い国と辛気臭い国はあまり興味を惹かれなかったが、砂の都とやらは私の感性にいたく合ってな。のんびり観光して、便箋まで買ってしまったのだ。またそこの王であるユシュカとやらに用心棒として召し抱えられてな。大魔王になるための試練を突破するため、共にここまでやってきたのだが、はぐれてしまったという訳だ。
ユシュカは大変面白い男でな、多少傲慢な所はあるが有能で民思いの良い王なのだ。私の祖国も彼のような統治者に恵まれていれば滅ぶ事もなかったろうになあ…まあ、それは兎も角として、此処での試練で貴公はどんな診断結果が出た?私は「ずのうめいせき」と言われたよ。嬉しいものだな、誰かに褒められるというのは。
おっと、いつのまにやらかなり時間が経っていたな、そろそろ私はおいとまするとしよう。またな。

(これは毛皮の生えたもの達)