火山や砂漠といった過酷な環境が広る土地、ドワチャッカ大陸。
5大陸随一の高い技術力を持つ種族、ドワーフ達の作り上げた最大の町である「ドルワーム王国」に私達は来ていた。
彼らの文明の歴史を象徴するかのような巨大な建造物の数々を尻目に、私達は町の広場へと向かっていた。
「いいですか、相手が強大な存在であるならば、こちらは強力な武具と、大量の冒険者を集めて挑むべきです。」
その道中、私はフウラにこの町へと大地の箱舟で向かった理由を聞いていた。
「そのためには、まず先立つ物…つまりゴールドが必要です。
しかし、隊商警護やモンスター討伐といった真っ当な冒険者の仕事では、時間毎の賃金の量や怪我等のリスクがある戦闘で問題が発生してしまいます。」
そこで、と一区切りしたフウラは路地の先に見える広場と、そこにたむろする大勢の人々を指差した。
「ひとつ、お金稼ぎに良い仕事を思い出しまして。」
……………………
広場に用意された即席のテントでは、王宮の研究員達が採掘用の道具…つるはしや、鉱石を入れる袋等を配っていた。
「はい、お名前はフィーネさんとフウラさんですね。登録完了致しましたので、こちらの支給品をお受け取り下さい。」
諸々の道具を貰った私達は、フウラ曰くお金稼ぎに良い仕事である、「魔瘴石」の採掘に向かうこととなった。
「ねえ、魔瘴石なんて掘って何をするの?魔物って魔瘴から生まれてくるんでしょ?」
「ドルワームの研究者達が魔瘴石をエネルギーに置換する技術を発見したらしいと各国で話題になってまして。危険性はほぼないらしく、採掘に協力した冒険者には、持ち帰った魔瘴石の量に応じた報酬を渡すという話がされています。」
「あ~、なるほど。国全体が支援してるから、安全で、楽に稼げる仕事ってことなんだね。」
私の言葉にフウラは頷くことで肯定をしつつ、一つ訂正をするならば、と言ってから
「魔瘴石が出る鉱脈…カルサドラ火山にも一応魔物は出るということくらいですかね。
万が一に備えて、戦う気構えを持っていた方がいいかもしれません。」
「なるほどね、警戒しとかなきゃ…」
そう相槌を打った私は、ひとまず自分の剣と防具、明日の宿と食事代のために火山へと向かうのであった。