「……………」
「………」
坑道内で遅めの昼食を取った後、フィーネとフウラは午前中の成果を確認していた。
フィーネが地面に並べた紫色をした鉱石の破片、
その数の少なさに、二人は揃って渋い顔を浮かべる。
「少ないですね」
「少ないね」
「…これはとうとう赤字ですかね」
「…そうなんだ」
国が高額で買い取る鉱石…そんな儲け話を冒険者達が見逃すはずもなく、毎日のように採掘され続けた
坑道内の魔瘴石は、既に数を減らしつつあった。
金銭管理を担当しているフウラからすると、自分達の成果ではこれ以上の採掘は食費や宿代、つるはし等のレンタル代込みで赤字だというのは少々…いや、
かなり頭の痛い話である。
「シチューはお肉が入ってるやつから野菜のに変えたけど、パンも減らさないとかあ…」
先輩の体と声で泣き言を聞かされ、フウラはぐむ、と呻いてしまう。
お世辞にも肉体労働に向いているとは言えないフウラの代わりに、今は掘削作業に多少の心得のあった
フィーネが採掘を担当しているのだ。帳簿を担当する身として、これ以上彼女に負担が行くのは避けたい…
そう考えて、早数週間である。
(あまり気は進まないけど…先輩のためだから仕方ない、よね…)
もうこれ以上決断を先延ばしにすることはできない。そう判断した少女は、前々から考えていた計画を実行することにした。
「いえ、そうはなりませんよ」
首を傾げるフィーネに対して、そして何より、内心で怯えている自分に対して、フウラは拳を握りしめ、
掲げてみせた。
「これから、買い物に出かけましょう。
…新しい仕事と、美味しいご飯を手に入れに!」