「ねぇ、あなたは 王都中央研究院 の所属なんでしょ? テーマは何を?」
「あぁ、僕は主に薬品を調合して投与したり、環境を変えたりして植物の成長を促す研究をしてるんだ。
そういう君は 王立アカデミア からの出向なんだって? 専攻は?」
「私は交配を繰り返して生命力が強い品種への改良を研究しているのよ。特に寒さに耐えられる作物をもっともっと増やしたいの!」
「なるほど!じゃあここはうってつけの場所という事だね! これからよろしく!」
「私達のが先に寒さに参ったりしてね♪ こちらこそよろしくね!」
「ねぇ、君の机の周り、もう少し整理した方がいいんじゃないかな?」
(本の上に飲み物が入ったカップを置くなんて、こいつマジか?)
「ここにある物は、全てあたしの私物だし、さらに付け加えるなら!
ここに書かれている内容はあなたには全然興味ないだろうし、
仮に汚れて読めなくなってもあなたには問題ないでしょう?」
(男のくせに、なんであんなに細かいんだろ!)
「ねぇ、見て! 信じられる? 温暖な地域でしか群生しないヤシの木が、こんな雪山でスクスクと育ってきてるのよ!」
「おめでとう! 君の研究の成果が着々と現れてきてるね!
念願の寒冷地域の農地化に、また一歩進んだね」
「ありがとう♪」
「こ、これは!! 想定以上だ、、、」
「 ~ん? どうしたの?」
「この成長促進剤が、まさかここまで効くなんて! 投与していないサンプルとの差が3倍近くも出たんだよ! まさかこんな組み合わせにこんな効果があったなん、、、て、、
うわっ! なんでバスローブしか羽織ってないんだよ!」
「お風呂上がってすぐに大声出すんだもん。何事かと思って飛び出してきたの! 悪い?」
「せめて部屋着を着てからでも、、」
「細かい事はいいじゃない。 それよりも、、おめでとう! あなたも着々と成果が出てきているよね!
やっぱり研究に没頭できる環境のお陰かな~」
「ありがとう。たしかにそれは言えてるな!」
(笑い声)
「そういえばさ、そろそろじゃない?」
「ん? なんだっけ?」
「クリスマス。 ここに来て最初の。」
「あ~、、、そろそろそんな時期か~。毎日雪ばかり見てると季節感が鈍るっていうのは本当ね」
「じゃあ、今年はお互い研究に没頭する?」
「、、、ん~、考えとく。」
(いくら君専用の室内温室だからといって、さすがにツリーを隠すのは無理があるだろ♪
だって、温室は僕の部屋の前なんだから♪
あいつ、頭は良いけれど、サプライズの腕はまだまだだなぁ、、、
見え見えのサプライズのお返しは、本気のサプライズで!ってね♪)
(あ~ぁ、さすがにさっきのはまずかったかなぁ、、、
サプライズで渡すプレゼント、どう理由つけて渡そうかなぁ、、、
まさか、彼ったら、プレゼントがツリーだなんて思ってないよね? 本命はここに隠して、、、はいないけども! 気づかれてないから大丈夫だよね♪)
「「merry X'mas!」」
【ハウジング解説とか♪】
今回のクリスマスイベントのハウジング、最初に登場人物二人の性格や生い立ちとかの設定を細かく作ることから始まりました。
そうしたら、どこに何が置いてあるとかが、作るより先に頭にスッと入ってくるんですよね。
あ!ここは○○の部屋なのにあれがない! とか、
たぶん、アレをここに持ってくるだろうな~とか!
でも作っていてとても楽しかったです♪
この家、寒冷地なのに暖炉がないのは、ボイラー式のセントラルヒーティングで館内に暖気を循環させているからです。
なので、夜にボイラーの火を落として、朝に火を入れたりすると、
「カーン! カーン!」
というスチームハンマーの音がします。(こういう細かい設定が大好きです♪)
室内の二つの栽培室も空調が効いているような感じに見えるような物も置いてます。
庭は主に彼女が研究用の植物を栽培しています。
地下水や沢から引いてきた水を使っています。
このハウジングをした世界は、ティアとは違って魔法も魔物も存在しない、でもリアルの世界とはちょっと違う感じです。
みなさんは、宮沢賢治のグスコーブドリの伝記をご存じですか?
あそこに出てくる世界、イーハトーブがこの家の背景の世界に一番近いと思います。
登場人物の二人に細かい設定を作ったように、この舞台の世界にも細かい設定を作ってみました。
二人の台詞から、なんとなく舞台となっている世界の背景が少しでも伝わっていただけたら幸いです。
【王立国土植生研究所】 雪原 11821 - 6