「うへぇ、後輩ちゃんたちと一緒に海に来てたはずなのに...、皆迷子になっちゃったのかなぁ~?」
すぐ後ろにいると思っていた同伴者たちは何も言わずに姿をくらまし、少女は誰もいない砂浜にトボトボと足跡を付けていた。
「おじさんをいじめないでよ~、準備手伝わなかったの謝るからさ。ね~?ちょっと意地悪過ぎるんじゃないかなぁ」
いつものようにお灸を据えられているのだと、近くで聞き耳を立ててるはずの後輩に届くよう、大仰にボヤいてみる。
壮観な海原に金ピカの砂浜、頼まなくてもそのうち痺れを切らして現れるだろうと偵察を進めておく。
それなりに時間も経ち、随分歩いてきただろうか。危険な物は無さそうだが、誰か姿を見せる様子も無かった。
こまめに呼びかけながらちらっと岩場に目をやる。応答はなし。もしかしてスキューバ中?そんな訳はなく、沖に顔を向けても綺麗な凪が広がるばかり。
「おじさん一人で楽しんじゃうよ~?ほらほら~、海をバックにこんなポーズ取っちゃったり。」
見せつけるように砂の上をタップしてみる。回ったり、砂をかき集めたり、あとは...。
一人の楽しみ方が思い浮かばずに右往左往。それでも誰一人として顔を出す気配はない。
「え...?もしかして本当にいなくなっちゃった?」
悪い冗談も考え出すと不安は募るもので、吹き出た汗も凍りそうな冷たい不安が心を過ぎるのを感じた。
自分の足跡を辿り来た道を引き返す。普段は頼まれてもしないのに、喉がカラカラで仕方ないのに、砂浜を走って戻った。
足が思うように動かない、何故だろうか。そんなことを考える暇もないくらいに、湧き上がる焦りからただただ身体を動かすことに必死だった。
遂に足跡の途切れる所まで戻ってしまった。後輩たちの姿もなければ持ってきた荷物も、寝泊まりに使おうとしていた小汚い廃屋も、全部なくなっていた。
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「っていう夢を見ちゃってさ~?」
「......それは遅刻した理由になりません!今日遅れたら許さないって、言いましたよねー!?」
「あは...、あはは。それじゃおじさんはこれで~...」
「逃がしませんよ!セリカちゃん、出口塞いでください!」
対策委員会の朝は遅い。今日も平和でいつも通りの一日が訪れましたとさ。
- fin. -
「黄昏に~、丁度いい場所はどこかなぁ?」(エンドロール用の写真)
という訳で、コスプレのプレイベに参加したのですが、ベホイミスライムとトマトマーレのコスプレしか持ってなかったのでブルーアーカイブより小鳥遊ホシノさんのコスプレ作成!
髪を横に跳ねさせられれば最高なのですが。